愛犬家を狙う新手の詐欺「噛まれ屋」 弁護士は「損害賠償は生じない」と分析
詐欺行為を行う集団「噛まれ屋」が愛犬家を狙っている。この行為をプロのドッグトレーナー、弁護士はどう見たか。
他人が散歩しているペットにわざと噛まれ、慰謝料を請求するという新手の詐欺行為「噛まれ屋」がツイッター上で話題を呼んでいる。ドッグトレーナー、弁護士たちはこの問題をどう見たか。
■卑劣な手口
故意に交通事故を起こして損害賠償を請求する「当たり屋」ならぬ「噛まれ屋」。ツイッター上で物議を醸したのはドッグスクールに通うとある愛犬家ユーザーからの報告だった。
ツイートによると犯人はグループで行動し、無理やり散歩中の犬に近づいては犬の痛がる行為を行い、噛みつかれた直後に慰謝料請求をするという卑劣なもの。犯人グループには弁護士なる人物も介入しており、泣く泣く慰謝料を払うはめになった飼い主が数名いるという。
新型コロナウイルス流行後、日本では「疲れた心を癒やしてくれる」と新たにペットを飼育する人が増えている。2020年12月に社団法人ペットフード協会が発表した資料では、2020年に新規で飼育された犬は前年比114%となる約46万匹で、過去5年で最も多い数値となった。
そのブームを狙ったかのような今回のトラブル、プロのドッグトレーナーはどう見たか。
■「犬の尻尾が当った」という事例も
愛犬のしつけを指導しているトガシドッグスクール代表の富樫祐一氏は「以前、とあるゴールデンレトリバーの飼い主さんが、すれ違った人に『おい、いま犬の尻尾が当ったぞ。慰謝料をよこせ』と難癖をつけられたという事例がありましたが、今回のケースはさらに酷いですね…」と顔をこわばらせる。
一方で富樫氏は、いくらしつけをしていても犬は相手を噛んでしまうリスクが少なからずあるとも説明する。
「例えば陰部などを強く触られると犬はすごく嫌がる。そういう嫌がらせをすれば咄嗟に反動で噛んでしまうこともあるのです。仮にお手をしてくれた手を捻れば、痛みで反撃してしまうこともあるでしょう。いくらお利口なワンちゃんでも『犬は噛むものなんだ』という大前提を常に頭に入れ、怪しい人には一切触らせないことがトラブル回避につながります」(富樫氏)。