シロクマが客に投げられたボールを飲み腸閉塞で死亡 動物園職員が悲痛な訴え
結果を考えず、面白半分だった若者。動物も大切な命を持って懸命に生きていることを、忘れてはならない。
動物たちの愛らしい表情や行動を間近で見ることができ、老若男女を楽しませてくれる動物園。しかし、心ない客が投げ込んだボールをホッキョクグマが飲み込み、腸を詰まらせて死亡するという事故が発生した。イギリスの『Metro』や『Latin Times』が報じている。
■餌と勘違いか
ロシア・ウラル連邦管区にあるエカテリンブルク動物園で、長年にわたり客を楽しませてきたホッキョクグマのウムカ。25歳にもなる園の人気者だった。
だが19日、動物園を訪れていた若者が、朝食をとっていたウムカに向かってゴムボールを投げた。餌と勘違いしたウムカはそれを飲み込み、その後、苦しみながら倒れてしまったという。
■ゴムボールで腸閉塞に
ウムカの異変に気づいた職員は、ただちに獣医師に連絡。しかし懸命な処置のかいもなく、翌日にウムカは息を引き取った。死因は腸閉塞で、剖検の結果、ゴムボールを腸に詰まらせたことがわかった。
動物園に対しては、「ウムカにこの悲劇をもたらした若者は十分反省するべき」「その行為に厳しい罰を」といった声が寄せられているという。
■孤児だったウムカ
ウムカはロシア極東連邦管区のビリングスの田舎で生まれるも、両親たちとはぐれ、野生の犬の群れに襲われたところを地元の人々に救出された。額に残っていた黒い傷は、その時のものだという。
地元の人々は4ヶ月ほど魚、セイウチ、アザラシなどの肉をウムカに与えて世話しており、野生に戻るのは難しいと判断され、1998年に同動物園にやってきた。
16歳のときには、ホッキョクグマの胎仔を雌のヒグマの子宮に移植し、ヒグマが代理母出産するという異種間移植のため、精子を提供したことで有名になった。
■怒りと悲しみと…
ウムカを亡くした動物園の職員たちの怒りと悲しみ、そして喪失感は相当なものだという。
「見学者の方々にお願いです。動物たちを、もっと尊重してあげてください。大きくて強い猛獣でさえ、不注意に投げ込まれた“贈り物”から身を守ることはできません」「守ってあげられなくてごめんなさい、ウムカ」との声明を発表した。
ウムカにはアイナという親友でありパートナーがおり、いつも長い時間を一緒に過ごし、大変な仲良しだったという。アイナも職員たちと同様に悲しんでいるに違いない。
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(文/しらべぇ編集部・桜田 ルイ)