「太ったら許さない」と我が子を厳重管理 激しい運動を強要した父親に実刑判決

運動オタク、健康オタクの父親の厳しすぎる子育ては、「強迫観念」以外の何ものでもなかった。

2021/04/20 14:50

体重計
(kzenon/iStock/Getty Images Plus/画像はイメージです)

健康に自信があり、体を鍛えることに余念がなく、常に傲慢だった父親。イギリスでこのほど、実の娘に日々激しい運動を強いたうえ、摂食障害にさせたとして起訴されていた56歳の父親に対し、有罪判決が下った。『Metro』『Mirror』などが報じている。


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■運動オタクの父親

事件の舞台となったのは、イギリスが誇るウィンザー城があることで知られるバークシャー州のウィンザー。ここに暮らしていたラシド・カードラ被告(現在56歳)は、日々各種のトレーニングを欠かさない運動オタクだった。

長男カリムさん、長女アミラさん、次男ヒッチャムさんという3人の我が子に対しても、幼い頃から日常的に「太ってはならない。運動しなければならない。健康を維持しなければならない」と説教していたことがわかっている。

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■従わないと暴力も

ラシド被告はやがて子供たちに対し、食事や間食の厳しい監視、週1度の体重測定、運動を強要するように。

さらにインターネットや携帯電話の使用についても、すべてを父親である自分が管理し、言うことを聞かなければ、殴る、首を絞める、イスを投げつけるなどの激しい暴力を振るった。

好きなものを食べたがった娘のアミラさんに対し、特に態度が厳しかったラシド被告。2012年には「死ぬ覚悟で運動します。私は決して太らないと誓います」という誓約書を作成し、アミラさんに署名させた。

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■子供の心身に次々と異変

父親の運動オタク、健康オタクぶりは、もはや強迫観念以外の何ものでもなかった。支配的な態度での厳しい監視と暴力は子供たちを追い詰め、アミラさんは摂食障害を、続いてカリムさんは心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症。その闘いは現在も続いている。

子供たちは成長とともに次々と自宅を出て、実家とは疎遠になると同時に、一連の行為は我が子への虐待に他ならないと自覚するように。3人そろって当局に相談し、事件はやっと明るみに出た。


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■摂食障害で痩せたままの娘

このほどその裁判がレディング刑事法院で開かれ、虐待および我が子の命を危険にさらした罪に問われたラシド被告には、懲役2年6ヶ月の実刑判決が下った。

現在は動物病院の看護師として働いているというアミラさん。

弱々しさが見て取れる非常に痩せた姿で出廷し、ラシド被告の監視下にあった頃について「自分はなんと愚かで価値のない人間なのだろうと、無力感でいっぱいでした。幼いこともあり、なす術を知りませんでした」などと証言したという。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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