復興庁による「トリチウムキャラ」が波紋 福島県民に受け止めを聞いた
なぜトリチウムがキャラクターに。「ぬいぐるみや着ぐるみになることはおそらくない」と復興庁。
2021/04/14 17:15
東京電力福島第一原発事故から10年目に、処理水の海洋放出が決まった。福島県内だけではなく、周辺自治体や海外からも不安や戸惑いの声があがっている。また、発表の日に登場したキャラクターも波紋を呼んでいる。
■関心を持ってもらうため
復興庁は13日、処理水に含まれる放射性物質「トリチウム」の安全性をPRする目的で作成したチラシを発表した。そのチラシの中には、かわいらしい天使のような「トリチウム」キャラクターが登場。
復興庁によると、このキャラクターは外部の制作会社がデザインしたもので、事前に準備していたものだという。
復興庁原子力災害復興班は、しらべぇ編集部の取材に対して「専門性が高く、わかりづらいトリチウムに関心を持ってもらうために作成した」と話す。
また「多くの子供たちにも興味を持ってもらえるように、パンフレット内にイラストを多用した」と語った。さらに、「トリチウムキャラクターが、今後ぬいぐるみや着ぐるみになることはあるのか」問うと、「おそらくない」と述べた。
■世界でもすでに海に流している
パンフレットでは、アルプス処理水について「①トリチウム(三重水素)は身の回りにたくさんあります②トリチウムの健康への影響は心配ありません③取り除けるものは徹底的に取り除き、大幅に薄めてから海に流します」と述べている。
また、「世界でもすでに海に流しているとし、トリチウムが原因と思われる影響は見つかっていない」としている。
■県民の不信感は根強い
実際にこのパンプレットを見たいわき市40代女性は「アルプスで処理を行うのが東京電力というのが、大いに心配で不安」と述べた。
また、同市60代男性は「三重水素が安全といわれても、10年前に原発内で実際に水素爆発が起きているではないか」と憤る。
■故障の地震計を放置
東京電力をめぐっては、新潟県の柏崎刈羽原子力発電所でテロ対策の不備があったり、福島第一原発で故障していた地震計を放置していたりと、信頼を揺るがす事態が相次いでいる。
漁業関係者は約束をほごにした政府に怒り、県民の東京電力に対する不信感は根強いままだ。
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(取材・文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)