特別支援学校で給食のチキンナゲットによる窒息死 米国では和解金が2億円にも
窒息事故を学校も地域も反省しており、大きな教訓として、今後のスタッフ教育に生かすことを遺族に誓った。
米国・フロリダ州で1年半ほど前、ある高校に通う19歳の男子生徒が、チキンナゲットを喉に詰まらせ窒息死した。障害を抱える人を守るための連邦法が適用されたことで、遺族への補償が莫大な額となったことを、地元メディアの『KIRO7』『KTLA-TV』などが伝えている。
■チキンナゲットが喉に詰まる
事故は2019年8月13日、フロリダ州パームビーチ郡のパームビーチ・ガーデンズにあるウィリアム・T・ドワイヤー高校(William T. Dwyer High)で起きた。亡くなったのは特別支援学級に通っていた当時19歳のケダー・ウィリアムズさんだ。
ケダーさんは、給食で出たチキンナゲットを喉に詰まらせた。食事の介助にあたるべきだったスタッフは、たまたま別の生徒と一緒に座っていたことが、防犯カメラの映像で確認されている。
■マンツーマンではなかった
ケダーさんは重い自閉症を抱えていた。そのため普段から周囲との言葉のやり取りが難しく、水分をあまりとらないまま、あるいはよく嚙み砕かないまま飲み込もうとして、喉を詰まらせたり、むせたりすることが度々あったという。
マンツーマンでの食事の介助が必要であったにもかかわらず、スタッフは当時、別の生徒の世話も担当。学校側はこのことについて、責任を問われていた。
■障害ある人を守る連邦法を適用
事故から1年半となる今月24日、やっとパームビーチ郡教育委員会と遺族が和解。遺族には補償金として、郡より200万ドル(日本円で約2億1,900万円)が支払われることが決まった。
普通学級に通う生徒のこうした事故に対し、学校側の過失が認められた場合、アメリカの多くの州や郡で「補償金は30万ドル(約3,290万円)まで」などと上限が設定されている。
だが特別支援学級においては障害がある人を守る連邦法が適用され、違法性が認められると補償金の額がぐんと上がるという。
■この事故を教訓として…
遺族である父・ジェフリーさん、そして母・ミーガンさんに誠意を認めてもらったパームビーチ郡は、この事故から大きな教訓を得たとして、ケダーさんの名を付けた新しい訓練指導要綱を策定。介助や補助にあたるスタッフの教育に役立てることを誓った。
口や喉を潤し、よく噛むよう指導し、パサついた大きな食品は細かくカットする。そのような配慮と注意のもと、すべての特別支援学級で安全で給食が実現することを、ケダーさんの両親も心から期待しているという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)