子供の前で母親を強姦した男に死刑宣告 人権擁護運動がパキスタンで活発化
性犯罪者情報登録システム、性犯罪に特化した裁判所などができたパキスタン。さっそく2名の被告に、死刑が言い渡された。
男尊女卑の精神が根強く残るパキスタンのある裁判所で、男の被告2名に死刑判決が下った。従来とは異なり、珍しく女性や子供の権利が尊重される判決であったことを、英国のメディア『BBC』『Metro』などが報じている。
■車のガス欠で助けを求める
事件はパンジャーブ地方パンジャーブ地方のラホールで、昨年9月のある夜に起きた。高速道路の脇で「ガソリンがなくなりました」と助けを求める子供連れの母親に気づいた男2人が、親切なふりをして近づき、銃を突きつけて脅しながら母親と子供を車から引きずり下ろした。
ひと気のない所に親子を連れ去ると、男たちは子供たちの目の前で母親を強姦。所持していたお金、宝飾品、銀行のカードなどを盗んで逃走したという。
■昨年12月に法改正
警察は捜査の末、アビッド・マルヒ(Abid Malhi)とシャフクァット・アリ(Shafqat Ali)を容疑者として特定。強盗および強姦ほかの容疑で起訴した。
これまでパキスタンで性的暴行事件の犯人に有罪判決が下ったのは、なんと3%未満。被害に遭った女性や少女たちは、泣き寝入りが普通だった。
だが近年、人権擁護団体『War Against Rape』が中心となり、女性と子供の安全と人権を守ろうとする動きが強まり、昨年12月には法改正がなされたという。
■処刑前には14年の服役も
この事件は国内のそうした動きをいっきに活発化させたと言われ、パキスタンのカラチでは「被告2名に死刑を望む」と裁判所に向かって叫ぶなど、大勢の女性たちによるデモが行われた。公の場での絞首刑を求める声も上がったという。
その流れを受けたかのように、ラホール裁判所のアーシャド・フセイン・ブッタ判事は、このほどマルヒとアリの両被告に死刑を言い渡した。また、その処刑の前に最低でも14年間の服役を命じている。
■性犯罪に特化した裁判所も
性的暴行事件の被害者が心を病み、自殺してしまう例が後を絶たないこともあり、逮捕から起訴までの時間をまずは短縮。国内の誰もが閲覧できる性犯罪者情報の登録システムを築き、性犯罪に特化した裁判所を設けることになったという。
女性と子供は弱いもの、性的暴行事件を起こしても無罪になる。そんな甘い考えはもはや通用しない、真の法治国家を目指すというパキスタン。本気で取り組まれることを願うばかりだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)