スエズ運河に長さ400mの超巨大コンテナ船が垂直に座礁 停電による横流れか
1日50隻もの大型船舶が通過し、世界貿易量の約12%が利用してきたというスエズ運河から、驚くような座礁の話題が伝えられた。
世界三大運河のひとつで、地中海と紅海を結ぶ水路として、交通量は世界最高ともいわれるエジプトのスエズ運河。超巨大サイズの貨物コンテナ船にその横幅をめいっぱい占領され、他の船舶が通過できなくなっている。公開された写真に悲鳴にも近い声が上がっていることを、イギリスの『The Guardian』や 『SKY NEWS』などが報じた。
■運河の狭い部分で
スエズ運河を北上するなか、両岸に対し垂直に停止し、運河の横幅を塞いでしまった長さ400m、重さ22万トンの『エヴァー・ギブン(Ever Given)』。台湾長榮海運(エバーグリーン・マリン)が所有する超巨大コンテナ船だ。
エヴァー・ギブン号は中国からロッテルダムに向かうなか、現地時間の23日午前7時40分ごろ、マディヤー(Ma’diyah)付近の狭い部分で座礁。停電により、横流れが発生したとの情報も報じられた。
■世界で最もビジーな水路
スエズ運河は、アジアとヨーロッパを結ぶ大動脈として、地中海と紅海を行き来する最速のコースを提供している。長さ約193kmのこの運河を、1日あたり50隻前後の船舶が通過し、世界の貿易量の約12%がここを利用してきたという。
SNSにはその座礁の様子を伝える投稿が多数アップされているが、足止めを食らってしまったマースク・デンヴァー(MAERSK DENVER)号から撮影された写真には、「こんな異様なシーンは見たことがない」「いったいどうすればこんな垂直に座礁するんだ」といった驚きの声で溢れている様子だ。
■ドイツでは開放に5日間も
石油を運ぶため、サウジアラビア、ロシア、オマーン、米国などと行き来する船舶が立ち往生するなど、15ほどの船舶が通過できない状態。23日午後には、タグボートを利用してその船首を動かそうという試みが始まったが、2日はかかるとの報道もある。
2016年にはドイツのハンブルク港の近くで「CSCLインディアン・オーシャン」号が同様のアクシデントに見舞われ、12隻のタグボートにより5日後にやっと開放されたという。
■新スエズ運河完成も…
なおエジプト政府は、スエズ運河の1日の通航船舶数を2023年までに平均97隻にまで増やしたいと考え、拡張工事を2015年10月に完了していた。既存の水路に平行して新水路35kmが開設され、通過時間も18時間から11時間に短縮されたという。
そうした流れを受け、コンテナ船が年々巨大化したことも問題だと指摘する専門家も多い。このエヴァー・ギブン号は、大西洋と太平洋を結ぶパナマ運河にとっては、船体が大きすぎるという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)