恋に破れた女性、美術館に降臨 エモすぎる出品作に「これぞ芸術」と称賛相次ぐ
美術館に出展された書道作品の中に、異彩を放つ作品を発見。誕生までの経緯が最高にエモかった。
■「阿修羅」が現れたのは運命だった?
阿修羅といえば仏教における守護神の一つで、「三面六臂」の風貌と闘争的な性格の持ち主ということで広く知られている。
そんな阿修羅とウワーーッさんの出会いはなんとも運命的なもので、本人は「漢字の先生がいらっしゃった時に、漢字3文字のお手本を書いて頂けることになりました」と当時の様子を回想。
「元々、顧問のかたに『ここから選んでもいいよ』と言われていた言葉達は綺麗目なものが多くて…」「漢字の先生に『他に何か検索したらどうか』と言われて『三文字熟語』で検索してすぐに出てきたのが『阿修羅』でした」とその出会いを語ってくれた。
失恋直後の状態にあったウワーーッさんは「恋愛に関する言葉だと感情移入しやすいな」と元々は感じていたのだが、「自分は元々勢いのある性格で、失恋して大人しく泣いてるのって自分らしくないな」「そんな自分を鼓舞できそうだな」と考え、「阿修羅」に挑戦することを決意。
ちなみに「あの〜、阿修羅が出てきたんですけど…」と遠慮がちに伝えたところ、「阿修羅! 阿修羅いいねえ!」と、先生もノリノリで手本を書いてくれたそうだ。
■「怨念や怒りは込もっていない」
「阿修羅」というワードチョイスを見て負のオーラを連想した人も少なからずいるようだが、実際はその逆。
ウワーーッさんは「(元)好きな人に対する怨念とか怒りとかはそこまでなくて、とにかく死ぬほど悲しくて辛かったので、先にも言った通り自分を鼓舞して勇気づけるための手段として『怒りや殺意高めの曲を聴きながら勢いで書き上げた』ということが私の中では重要です」と振り返る。
「失恋で書道の卒業制作も卒論も進捗が悪くて、本気で留年も考えてた時間もありましたが、『阿修羅』を書いてると楽しくて前向きになれたので、なんとか卒業制作も卒論も出すことができました」とのことで、負のオーラどころか「2尺×6尺」のサイズ全体から、清々しい「爽やかなオーラ」を感じとることができないだろうか。
■作品が見られるのは…
ウワーーッさんは今回出品した「創玄展」にて、去年までは小筆で書く「仮名原寸臨書」と、「漢字臨書」(臨書=手本にする古典があるもの)を出品していたが、今年は「二科」から「一科」へとクラスアップしたことにより、自身にとって「ほぼ初」となる漢字創作を書くこととなったのだ。
初々しくもあり、誕生背景を知るとどこか微笑ましく、それでいて元気づけられるような「阿修羅」は14日まで、東京・六本木にある国立新美術館にて鑑賞することが可能なので、気になった人はぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
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(取材・文/しらべぇ編集部・秋山 はじめ)