「モデル募集」と偽り裸写真を児童ポルノ犯罪組織へ 経営者に懲役40年の実刑判決
かつて悪い人間が子供を誘拐する目的は身代金だった。だが今は違う。小児性愛者、そして児童ポルノの犯罪組織が絡んでいることが増えているという。
子供たちを誘拐しては性的な写真や動画を撮影し、タイで逮捕された男。警察は、この男が豪・南オーストラリア州でも重い罪を重ねていたことを突き止め、身柄をそちらに引き渡した。「ちびっこモデル募集」にとんだ落とし穴があったことを、『7News』『9News』などが報じている。
■PCに85万件超の…
男はタイ国籍で28歳。タイ司法省特別捜査局(DSI)は2018年、未成年者を誘拐してみだらな行為を働いたとして、その男を逮捕していた。
押収したPCほかのデータを確認したところ、問題がある画像や動画の数は85万件を超えており、赤ちゃんから15歳ほどと見られる犠牲者が、豪・南オーストラリア州のアデレード市周辺に相当数いることが判明。男の身柄をそちらに引き渡すとともに、捜査に全面的に協力した。
■「ちびっこモデル大募集」
男はアデレード市で「ちびっ子モデル大募集」という看板を掲げ、合法に見えるモデル事務所を経営していた。だが、じつは子供たちを裸にし、あるいはみだらな行為を働きながら撮影し、写真や動画を児童ポルノ犯罪組織に流して報酬を受け取っていたのだった。
こうして男は詐欺、性的虐待および暴行、性的搾取、児童ポルノ規制法違反などの様々な容疑で起訴され、昨年5月に懲役40年と3ヶ月の実刑判決が下り、南オーストラリア州の刑務所に投獄された。
■州や国を越えた合同捜査
児童虐待・性的搾取の撲滅を合同で目指す『SA Joint Anti Child Exploitation Team(略称:SA JACET)』を結成していた、豪・連邦警察と南オーストラリア州警察。2017年にはインターポール(国際刑事警察機構)の指導の下、『ベイルドン作戦(Operation Bayldon)』も発令された。
こうした協力体制や合同捜査はかなりの効果を発揮する。2018年5月以来、SA JACETはインターポールやタイDSIの協力を得ながら、この男のような犯罪者を9名検挙したという。
■増えている子供の誘拐
子供を誘拐する目的がほとんど「身代金」だった時代と異なり、今は小児性愛者、そして国際的な人身売買や児童ポルノの犯罪組織が絡んでいることが多い。
南オーストラリア州警察のリチャード・ランバート主任警部は、把握しているだけで100人を超える子供たちが不審な人物に誘拐され、体を撮影されるなどの被害に遭っているとし、「小学校の校庭で友達と遊んでいる子供ですらターゲットにされた」と警告している。
こうした不審人物の検挙は、バックにある犯罪組織や有害サイトの摘発にもつながる。そのためにも、速やかな通報や情報の共有が何より求められているそうだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)