海外からの観客除外で調整中の東京五輪 各国で「賢明」の声が圧倒的
来る東京五輪では、海外からの観客を当初100万人ほどと想定していた。インバウンド効果に、チケット販売の売上。日本に巨額の富が転がり込むはずだったが…。
開催まであと4ヶ月という東京オリンピック・パラリンピック(以下:東京五輪)。政府、東京都、大会組織委員会、IOC、国際パラリンピック委員会(IPC)による協議が3日に行われた。
新型コロナウイルスの影響を踏まえ、海外からの観客を受け入れるか否かは3月中に判断されるが、見送りの方向で調整中だという。この報道に海外の人たちは何を感じるのだろうか。
■ワクチン接種出遅れへの指摘も
海外が蔓延を抑えられず苦しんでいるように、日本でも今後、新型コロナウイルスの変異株の影響が出てくる可能性がある。3日の代表者会議で、海外からの100万人規模と想定される観客の受け入れについて、インバウンド効果云々よりも慎重論が出たのは当然だ。
だが、そもそも世界の多数のメディアは、1月から「海外からの観客受け入れは、困難との見方が優勢になっている」と報じるようになっていた。
さらに2月には『USA TODAY』や『CBS News』が、日本の新型コロナウイルスワクチン接種の出遅れを指摘。日本の国民の8割が開催に疑問や不安を感じていることは、さらにその前から広く伝えられていた。
■海外メディアは事実を淡々と…
海外ではそうした報道が続いていたこともあり、このたびのニュースにおいても苛立ち、あるいはショッキングで遺憾といった雰囲気は見受けられない。
多くが3日付のAP通信による『Fans from abroad unlikely for postponed Tokyo Olympics』という記事を、さらっと引用するに留めているようだ。
巨額の富を生む夢の祭典である五輪の招致に成功するも、新型コロナウイルスという目に見えない敵に開催を脅かされる羽目になった日本・東京。海外の人の目に、この残念な報道はどう映っているのだろうか。
■目立つ「賢明です」のコメント
このたびの報道について、YouTubeやツイッターでの海外の人々のコメントには、「その判断は懸命ですよ」という声が圧倒的に多い。さらには…。
「家族やサポーターもワクチン接種が条件となれば、大変なプレッシャーです」「新型コロナが完全に終息を迎えるまで、どの五輪も見送るべきだ」「経済的損失ばかり取り沙汰されているが、変異株が日本で大流行したら医療面でどれほどの費用がかかるか…」という声もある。
なかでも目を引くのは、「外国人観光客は東京、日本で好き放題やるだろう。欧米人はポイ捨て禁止という看板を見れば、ポイ捨てをしたがる。中国人はあちこちでタンやツバを吐く。日本人の手には負えないのでは…」という率直なコメントだ。
五輪に絡めて100万人もの外国人を迎えれば、なかには大騒ぎし、迷惑行為を繰り広げる者もいるだろう。勝敗次第でフーリガン化される懸念もある。
■「有料コンテンツにすればいい」
海外ではこの件に絡め、予想される日本や東京の経済的損失に関する報道も目立ってきた。単純に日本への旅行で生じるインバウンド効果は1,500億円ほどと予想され、観戦チケットの売上は全体で約900億円のうち、半分の450億円が海外からの観客向けと考えられてきたためだ。
シンガポールの英語ニュースチャンネル『CNA』のそうした報道には、「ここは“pay per view”で。有料コンテンツ制にして、視聴者からお金をとればいいんですよ」というコメントも寄せられた。
開催まであと4ヶ月。海外の人たちは、もはや日本に飛んでの観戦は諦めているようにも見える。むしろ損失分をどう取り返すか早く模索したほうがよい、と心配してくれているのかもしれない。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)