新型コロナ重症で出産した女性が回復せず 尊厳重視のため治療中止へ
体調を崩し搬送された妊婦は出産したが状態は良くならず、医師団はつらい決断を下すことになった。
持病がある妊婦が新型コロナウイルスに感染し、搬送先で帝王切開を受けた。赤ちゃんは生まれたが女性が回復する見込みはないことから、医師団が生命維持治療の中止許可を求めたことを、『Evening Standard』などが報じている。
■新型コロナ患者の出産
英国で暮らす30代前半の妊婦が、新型コロナウイルスに感染し体調をひどく崩した。妊娠32週だった女性は病院に救急搬送され、帝王切開で男児を出産。それから約1ヶ月が経過しても体調はまったく良くならず、膵臓と片方の肺は機能しなくなった。
女性には持病(アジソン病)もあり、病状はまたたく間に悪化。それでも医師団は救おうと努力したが、女性の状態は悪くなる一方で、結局は「回復する可能性はほぼない」という判断に至った。
■医療チームの思い
女性にとって、何が一番なのか。それを熟考した医師団は、「生命維持治療の中止が望ましい」と結論づけた。しかし女性には3歳の娘がおり、下の子も生まれたばかり。また家族は敬虔なイスラム教徒で、生命維持治療の中止に強く反対した。
昏睡状態の女性には意思表示は不可能とあって、医師団は裁判所の判断を仰ぐことにした。