ワクチン1回接種後にコロナ感染した女性 「3ヶ月後にまた2回接種」と説明
米国のファイザー社とドイツのビオンテック社が共同開発した、新型コロナウイルスのmRNAワクチン。じつは接種する側においても試行錯誤が続いているようだ。
ファイザー社が自信をもって世に放った新型コロナウイルス・ワクチン。海外では専門家が「1回接種しただけでも効果が」と論じるようになっているが、やはりソーシャルディスタンスやマスク装着を守る生活様式を変えてはならないようだ。
テキサス州のある女性の例について『Fox8 News』『ABC News:WGNO』などが報じている。
■接種後に感染
米国のテキサス州サンアンジェロ市のネルダ・ベナヴィデスさん。「孫がいる年齢」という彼女は1月7日、ファイザー社のワクチンを接種した。
ところが2週間ほどすると体調に異変が生じ、1月23日の検査で新型コロナウイルスの感染が判明。mRNAワクチンには新型コロナウイルスそのものは含まれていないため、接種後にどこかで感染したことになる。
■「3ヶ月待ったほうが」と医師
2回目の接種も予定されていたため、ベナヴィデスさんは医師に新型コロナの感染を告げた。すると、「3ヶ月間をあけたほうが無難です。そのとき、また1回目からスタートしましょう」と言われたという。
また新たに2回打つと言われ、不信感を抱いたベナヴデスさんはサンアンジェロ市の保健当局に相談。すると「まず14日間の自主隔離と健康観察を。体調が改善されたら、2回目の接種として次のワクチンを受けられます」と説明された。
1回目の接種後に感染というケースに関し、どうやらその医師には誤解や認識不足があったようだ。
■「1回でも接種してよかった」
こうしたケースへの対応について、保健当局は州の隅々にまで周知徹底を図っていたのか。それとも、医師のなかで「ここで2回目を打つのは怖い」といった心理が働いてしまったのか。
不明な点も多い新しいタイプのワクチンでもあり、ガイドラインとは別に、医師のなかで「高齢だし無理は禁物」という意識が働いたとしても強くは責められないだろう。日本でもこうした事態を想定しておく必要がありそうだ。
ちなみに、ベナヴィデスさんの体調は幸い24時間ほどで改善された。「軽く済んだのは1回でも接種したおかげです。私は重症化するタイプでしたから」と話している。接種の重要性を物語る貴重な一例と言えそうだ。
■接種が進まない日本
なお、海外メディアは東京五輪の開催に関し、最近はゴタゴタな人事より新型コロナ・ワクチン事情に関心があるように見受けられる。『USA Today』『CBS News』などが、「なぜ日本では接種が進まないのか」と少し前から揃って伝えているのだ。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当相に就任した丸川珠代氏の、「ワクチン接種を前提としなくても安心安全な…」発言は、何事もエヴィデンス重視でワクチン・パスポート案すら浮上している海外諸国に対し、どれほどの説得力を持つのだろう。
違和感を覚えた人は想像以上に多いのかもしれない。
・合わせて読みたい→新型コロナワクチン“副反応”などの実態とは 接種した米国在住日本人医師に聞いた
(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)