新型コロナ感染で母乳が黄緑色に? 専門家は「体内で作られる抗体の影響」
育児中に母親が新型コロナウイルスに感染してしまったら…と、心配する家庭はとても多い。
母乳育児中のママが新型コロナウイルスに感染した場合、万が一入院ともなれば、母乳を絞って冷凍庫に保存し、誰かが哺乳瓶で飲ませてあげるという方法も、考えなければならなくなる。
しかし、そもそもウイルス感染しているママの母乳をあげて大丈夫なのか。ある女性の珍しい経験について、英国のメディア『Mirror』『Mail Online』などが報じている。
■母乳育児中に新型コロナに
メキシコのヌエボ・レオン州モンテレイに暮らすアンナ・コルテスさん(23)は先月、生後4か月の娘ミカイラちゃんを母乳で育てるなか、新型コロナウイルスに感染した。
万が一の入院も視野に入れ、アンナさんは搾乳機で母乳を絞って専用パックに詰め、冷蔵庫の冷凍室に保存。解凍して哺乳瓶で与えることを決めた。ところがあるとき、アンナさんは保存中の母乳の色が、蛍光塗料のような明るい黄緑色に変化していることに気づいた。
■緑色の野菜を食べ過ぎた?
そのような色の母乳など見たこともなく、新型コロナウイルスに感染していることが何より不安で、さっそく専門家に相談した。「緑色の野菜を食べ過ぎたのではないですか」と指摘されたが、普段から野菜はたくさん摂っており、その説明には納得できなかったという。
続いてアンナさんは、母乳育児の専門家としても知られる小児科医に相談。すると新型コロナウイルスのせいではないか、という彼女の予想は的中した。
■時おり報告される現象
医師はアンナさんに、非常に強いタイプのウイルスに感染し、体内に抗体が作られていく過程で母乳の色が変化する現象は、時おり報告されていると説明。
「新型コロナウイルスは母乳には移行しないことがすでにわかっているので、心配せず母乳を与えてあげてください」と不安を払拭してくれた。やがてウイルス検査で「陰性」と告げられると、母乳の色も元に戻っていったという。
■乳腺の炎症を疑うケースも
この件について、『Mail Online』の取材に応じたロイヤル助産師大学(Royal College of Midwives)のクレア・リヴィングストンさんは、「母乳の色はホウレン草などを大量に摂取した、あるいは特定の薬を飲んだために変化することもあります」と説明。
母乳育児中に新型コロナウイルスに感染したとしても、赤ちゃんの丈夫な体づくりを考えれば、母乳をやめるより、与えるメリットのほうがはるかに大きいという。
ただ、もしも乳房が痛んで赤く腫れ、灼熱感や分泌物があるなど別の異常がある場合は、乳腺炎などを疑い速やかに受診することが必要だという。
・合わせて読みたい→出産で死亡した娘に託されたが… 生活困窮の遺族が捨てた赤ちゃんを当局が保護
(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)