貨物機の車輪奥に隠れ高度1万メートルを数時間 16歳少年が低体温症で救急搬送
警察は、人身売買組織が絡んでいる可能性も視野に入れつつ、捜査を行うという。
飛行機の車輪をよじ登って降着装置の格納部に隠れ、目的地に着くまで数時間じっと耐え続ける。これは、死と隣り合わせの大変危険な違法行為だ。ある空港でこのたび確認された事例について、オランダの『Netherlands News Live』やイギリスの『The Guardian』などが報じている。
■少年が車輪の格納庫に潜伏
今月4日午後、オランダのマーストリヒト・アーヘン空港に着陸したトルコ航空のエアバスA330型貨物機において、車輪の格納庫の奥に潜んでいる少年1名が発見された。
同機は3日にナイロビの空港を出発。トルコのイスタンブール国際空港、そして英国のロンドン・スタンステッド空港を経由してオランダに飛んできた。
■重度の低体温症で救急搬送
ロンドン・スタンステッド空港からマーストリヒト・アーヘン空港の飛行距離は、400キロメートルほど。貨物機は数時間にわたり、上空38,000フィート(高度11,000メートル強)を維持していたという。
少年はケニア出身で16歳。重度の低体温症が確認され、ただちに付近の病院に救急搬送された。順調に回復を見せているという。
■人身売買組織も関与か
ナイロビ~イスタンブール~ロンドンの空路でも、少年は同じ方法で飛行機に忍び込んでいたのか、それともイギリスには別の方法で入国していたのか。
オランダの警察はこの件に関し、人身売買組織が絡む密航である可能性も視野に捜査すると発表。16歳という年齢ゆえ、誰かの指示に従った可能性もあるとして、本人から詳しく聞き取りを行う予定だ。
■試した4人のうち3人が死亡
これまで世界で100人以上がこの方法を試みたと報じられているが、その4分の3の人が着陸前に命を落としており、着陸が近づいて降着装置が開いた途端に落下した人もいる。
上空では極寒と低酸素状態が待っており、たとえ健康な若者であっても耐えられるものではない。どのような理由であっても、決してこの少年の真似をしないよう呼び掛けられている。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)