五輪組織委・後任会長選びに海外も注目 高橋尚子、山口香、小谷実可子らの名前も

後任選びは透明性の高い公正かつオープンな方法になるものと期待されているが、候補者が女性ばかりになってしまうのはいかがなものか。

2021/02/13 16:00

高橋尚子

東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が、女性蔑視発言の責任を取る形で12日に正式に辞任。後任として要請を受けた川淵三郎氏(84)も辞退を表明した。後任の候補者として、女性の元トップアスリートたちに興味を示す海外メディアは多いようだが…。


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■森氏の功績を称え同情の声もあるが…

森氏の会長辞任について今、国内では特にスポーツ界の人々から「森氏が頑張ってくれたから今がある。彼のここまでの功績や努力を何も知らない人たちが勝手なことを」と悔しがる、あるいは同情する声が多数上がっている。

だが、あの差別発言を容認することは、五輪関連の会議で森氏を前に発言していた女性委員たちをはじめ、日本の多くの女性を屈辱的な気分にさせるだけだ。

スポーツを通じて平等・公平な世の中を目指すことが五輪の理念でもあり、海外メディアは「女性への差別意識は許されない」と森氏の発言をバッサリと斬っている。

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■女性の地位が低すぎる日本

この件に絡めて米誌『TIME』は、安倍晋三前首相の「女性が輝く社会に」という約束についても触れている。女性管理職を2020年を目途に30%まで引き上げるよう企業に求めたものの、結局15%未満どまりで、女性閣僚の数もわずかだと報じている。

また米国のニュース専門放送局『CNBC』は、世界経済フォーラムが発表した2020年のジェンダーギャップレポートで、主要153ヶ国のうち日本は121位だと紹介。女性の活躍が社会に生かし切れていないと伝えている。

五輪のこのゴタゴタを機に、日本人男性の意識が変わり、女性の人権や発言権が向上するか、海外の人々は私達をじっと見守っているのだ。

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■往年の名選手だった女性にも注目

小谷実可子

そんな中、スポーツ専門チャンネル『ESPN』は女性の会長就任案について触れている。

具体的には、1988年のソウル五輪・柔道で銅メダルを獲得した山口香さん、同五輪・シンクロナイズドスイミングで2つの銅メダルを獲得した小谷実可子さん、2000年のシドニー五輪・マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子さんの3名だ。

いっそのこと、こうした元トップアスリートという若い女性たちから選んでみてはどうか、という案が日本で注目を集めていると伝えている。


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■「女性から」と決めてかかるのは問題

五輪に女性のトップが誕生し、女性委員の数も増え、誰もが伸び伸びと発言する様子を想像するとワクワクするが、この問題を根本から考えると、大事なのはそこではない。

「女性から選ぶ」と鼻から決めるのではなく、ジェンダーの意識にとらわれず、公正に選んでみたらたまたま女性になった、しかもその新トップは委員の性別に関係なく意見を公平に評価することが大事なのだ。

短期間で多くを学ぶ必要があり、非常に重い責任がのしかかる新会長。「やっぱり森さんが良かった」と言わせない、真のパワーを持った人が選ばれることに期待したい。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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