80代女性の悲痛な声にSNSが呼応 渋谷バス停に「思いやりの結晶」が設置される
昨年の11月末、渋谷のとあるバス停が話題に。約2ヶ月の間で、現地に大きな変化が起こったようだ。
SNS全盛の現代では、人々が自身の意見や主張を全世界に発信することは決して難しくない。しかし自分たちの思いが、伝わるべき相手に伝わっているのか、不安に感じた経験のある人もいることだろう。
つい先日、東京・渋谷では人々のそんな不安を払拭してくれる象徴的な存在が、新たに設置されたことをご存知だろうか。
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■バス停の椅子をよく見ると…
ことの発端は、芸能活動のほかに「捨てられた椅子に座る」というユニークな活動を行なっているスミマサノリ氏が、昨年11月28日に投稿した1件のツイート。
捨て椅子かと思って近づいたら、80才のお婆さんの切実な思いが綴られていた。 pic.twitter.com/PlYXSKUk7D
— スミマサノリ (@sumimachine) November 28, 2020
投稿には写真が添付されており、そこには渋谷区のバス停に設置された椅子と、その上に貼られた警告文と、1枚のメモの様子が。
日頃の習慣でこちらの椅子を何気なくチェックしたスミ氏だが、椅子の上の警告文から、無許可で道路に設置された椅子であることを知る。さらに警告文に対する「青学前にはイスがあります」「80才の私がバスを待つ間使わせてください」という椅子の設置者からの(と思われる)メモ書きを発見し、こちらのツイートを投稿。
悲痛な思いがヒシヒシと伝わってくる光景を受け、多くのユーザーから「椅子くらい置かせてあげれば良いのに…」といった利用者への同情の声や、「行政はマニュアルな仕事しかできないからな」など警告文に対する疑問の声が上がっていた。
■単なる「お役所仕事」ではなかった?
こちらのツイートは8日時点で1万件以上のRTを記録しており、撤去の是非をめぐり様々な議論がなされてきた。そこで記者は12月の初頭に、「東京国道事務所」に取材を敢行。
担当者からは「誰も管理していないものが道路に設置されると、何かが起こった際に誰も責任がとれない事態が生じてしまいます」「道路に関していえば『どこが所有しているか』が重要になりますが、今回話題になっているのは国道246号のため、我々が道路管理者として申請関連を受諾する必要があります」と、今回の警告文が意味する詳細な情報を説明してくれた。
さらに突っ込んだ話をしてみると、「椅子の設置については前向きに検討しております」という情報を聞き出すことに成功。スミ氏のツイートを見て、同事務所の代々木出張所に問い合わせた人物が一定数いたとのことで、事務所側も「椅子を必要としている人がいる」ということを事実として認識したそうだ。
しかし具体的な設置予定時期は明かされず、「前向きに検討」という含みのあるフレーズが記者は妙に引っかかってしまい、(本当に設置されるのだろうか…?)と少なからず不安に感じていた。