新型コロナ「肛門検査は小児で特に有効」と中国 正確な結果急ぎたい空港でも
すべての専門家が肛門からのPCR検査を奨励しているわけではないが、本当に有効なら、日本も検討してみる価値はありそうだ。
中国では、PCR検査は鼻の奥や喉より肛門で行ったほうが正確だとして、そちらの検査が始まったことが話題になっている。なかなか正しい結果が得られないといわれる乳幼児や小児においても、差は歴然としているという。医療系ウェブサイト『webMD』ほかが伝えた。
■PCR検査も早すぎると…
来る旧正月(春節)の大型連休後、再び爆発的な流行が起きることが懸念されている中国。この国でも、新型コロナウイルスが「終わりなき闘い」と言われるようになった大きな原因として、PCR検査の不確実性が挙げられている。
たとえば、クラスターが発生した病院の同じ病室の入院患者にPCR検査をした場合、2日目では半数程度しか陽性を示さず、全員が陽性を示すには5日ほどかかる場合が多いという。早すぎるPCR検査で「全員が陰性」と示されても、それを鵜呑みにするわけにはいかないのだ。
■PCR検査には限界が
特にリスクが高いとされる高齢者や基礎疾患がある人たちにおいては、より速やかに、より正確な検査結果が求められるが、「鼻の奥や喉からのPCR検査では限界がある」と主張するのが、感染症および呼吸器が専門の北京佑安医院の李侗曾(Li Tongzeng)医師だ。
誤って陰性と判定された場合、きちんと綿棒で検体(鼻やのどからぬぐった粘液や痰)を採取できていない、感染後間もないためウイルス量が少なすぎる、ウイルスが肺の奥の方に多く、鼻や喉にはあまりいないなどの理由が考えられるという。
■肛門での検査で陽性率アップ
一方、急ぎで正確な結果を得る必要があるのが、空港に到着した人々への検査だ。
このたび李医師は、国営メディアの『中国中央テレビジョン(CCTV)』に「感染した可能性が高い学童や教師ら、1,000人以上を肛門から採取した検体で検査してみた。空港検疫所でも肛門からのPCR検査がスタートしている」と述べた。
香港中文大学の研究チームも、「新型コロナウイルスは排泄物の中に安定的に含まれている。特に乳幼児など、これまでPCR検査で反応が現れにくかった小児の感染者に大変有効だ」と主張している。
■反論する専門家も
肛門からの検査は、生理食塩水に浸した綿棒を肛門の奥2.5~5.0センチほどまで挿入するもので、支障がある場合、便から検査することも可能だという。
ただし、武漢大学でウイルス学を教えている杨占秋(YangZhanqiu)博士は、『環球時報/Global Times』に「新型コロナウイルスは呼吸器系を介して感染するため、やはり私は鼻の奥と喉からの採取が最も有効だと考える」と語っている。
手間もかかる肛門からのPCR検査。また、抵抗を感じるという人が検査をためらうようでは問題だ。これが浸透していくかどうかについては、CCTVも「しばらく時間がかかるのではないか」と伝えている。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)