新型コロナウイルスを呼気で数分以内に判定 イスラエルで簡易チェッカー開発が順調
息を吹き込むだけで、新型コロナウイルスに感染しているか否かが判明。そんな簡易チェッカーが、ひょっとすると商品化されるかもしれない。
イスラエルにある民間の医学研究所が、新型コロナウイルスを個々に検知できる簡易チェッカーの開発を進めていることがわかった。『THE TIMES OF ISRAEL』『THE JERUSALEM POST』に続き、イギリスのメディアなども報じている。
■ウイルスを簡易に検知
運転手や被逮捕者の飲酒の有無を検査する、呼気アルコール検知器。これと同じように、息を吹き込むだけで新型コロナウイルスの感染が判明するのであれば、検査の手間と時間がかなり省ける。
大きな注目が集まっているのは、イスラエルのテルアビブに本部を持つ医学研究所の「センテック・メディカル(Scentech Medical)」。
彼らが開発中の簡易チェッカーは、息を吹き込んで数分待つと陽性陰性の判定が出るもので、早くも世界各国の政府から問い合わせが舞い込んでいるそうだ。
■呼気中の揮発性有機化合物を…
ネスジオナにあるセンテック・メディカルのラボには、各分野で活躍してきた8名の医学博士や化学者たちが勤務している。
呼気中に含まれる8,000種類もの揮発性有機化合物(VOC)について、指紋のマッピング分析さながらの技術をもって各種の癌マーカー物質を推察していく研究の分野では、世界的に有名だという。
簡易チェッカーのテストはケフェア・サバにある総合病院メア・メディカルセンター(MeirMedical Center)の協力を得て行われ、第一段階が終わった時点で精度は98%。これはPCR検査より上を行くが、次の第二段階では、より広範囲を対象に行う必要があるとしている。
■デジタル医療技術は世界最高レベル
1月18日午前現在、イスラエルの新型コロナウイルスの感染者数は、日本の1.7倍にあたる約54万8,000人と発表され、累計の死者数は日本より400人ほど少ない約4,000名。死亡率は1.0%未満に抑えられている。
商都テルアビブが「デジタル医療のシリコンバレー」といわれるように、世界の最先端を行く医療技術と英知が集結するこの国では、新型コロナウイルスのワクチン接種も1日15万人ペースと、世界最速を誇っている。
■テストは3月末に終了予定
センテック・メディカルの最高責任者であるヤニヴ・チェヴロン氏は、メディアの取材に「数分も待たせない、検知のスピードアップを目指したい」「無症状の新型コロナ感染者も、変異種にも対応できるのではないかと思う」などと述べ、期待と自信のほどを明かしている。
簡易チェッカーのテストは3月末にすべて終了する予定で、データは米国食品医薬品局(FDA)へ。そこで実用化への承認を待つことになるという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)