東京五輪に「雲行きはかなり怪しい」報道が続く海外 河野大臣の発言も波紋
最後まで開催に向けて努力する姿勢を見せる必要がある日本および東京。だが「そろそろ現実に目を向けないと」という厳しい声も…。
米国の『ニューヨーク・タイムズ(New York Times)』電子版が、この新型コロナウイルスのパンデミック下で「東京2020オリンピック」が中止に追い込まれる可能性があると示唆し、話題になっている。さらに海外では、河野太郎大臣の発言が大きな注目を集めているようだ。
■第二次世界大戦以来初の中止か
スタジアムの建設やインフラ整備だけでも120億ドル(約1.2兆円)以上を費やしており、中止による財政的打撃は計り知れないと同情するものの、東京そして国際オリンピック委員会(IOC)の双方において、「この状況を踏まえ、日を追うごとに不確実性を増している」とするNYタイムズ紙。
同紙は、日本のNHKが行った最新の世論調査で、回答者の8割近くが「延期か中止を望んでいる」とも紹介。確かに、1万人ほどのアスリートや数万人のコーチ、大会関係者がワクチン接種を受けぬまま世界じゅうから入国することに、国民の拒否感は高い。
■河野氏の発言に大きな注目
NYタイムズ紙のこの記事と併せ、今、世界のメディアが大きく取り上げているのが、河野太郎行政改革担当相による発言だ。
河野氏は14日に開かれたロイターネクスト会議で、東京五輪のこの先に関して「I should say anything is possible(あらゆる可能性があると言わなければならない)」「It could go either way(どちらの方向に進む可能性もある)」と英語で述べ、さらにプランBやプランCも検討しておかなければならない状況だと続けた。
最終的には主催国としてできる限り開催に最善を尽くす考えを示した河野氏だが、米CBS、FOXやABC系列のメディア、シンガポールの有名紙『ザ・ストレーツ・タイムズ』などが、続々と「中止の可能性を匂わせた」と報じている。
■「彼は現実に目を向けている」
日本では現時点で11都府県が「緊急事態宣言」を余儀なくされ、ワクチン接種も始まらず、崩壊より「壊滅」の状態に近づいている医療機関も出てきた。
菅首相や小池都知事らが、あくまでも安全・安心な大会の五輪開催に向け努力を続けると語るなか、日ごと雲行きが怪しくなっている現実に目を背けようとしない河野氏の姿勢を、海外メディアは概して高く評価している。
宙ぶらりんの状態で調整を続けるアスリートたちも精神的に苦しんでおり、河野氏の発言が大きなヒントと見る向きは多いようだ。
■再延期の選択肢はない
なお、改めて「再延期は選択肢にない」と語ったトーマス・バッハIOC会長については、言葉にはしないものの、すでに2024年のパリ五輪、2028年のロス五輪の準備に入っているのではないかと伝えるメディアも出てきた。
参加が予定されていたにもかかわらず、「パリ五輪を目指し、気持ちを切り替えて頑張れ」と迫られることになるかもしれないアスリートたち。どれほど悔しいことだろう。この先、彼らのコメントなどにも注目してみたい。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)