エボラ出血熱や新型コロナ並みの致死率と感染力 コウモリ由来の新感染症が発生
完全に終息するかも怪しい新型コロナウイルス感染症。続いての脅威になる可能性を秘めた新たな病が、すでに発生していることをエボラ出血熱の権威が報告した。
エボラ出血熱のウイルスを発見し、第3回野口英世アフリカ賞(医学研究分野)ほか、世界の名だたる賞を受賞しているコンゴ共和国のムエンベ・タムフム博士。このたび、コウモリに由来するとみられる新たな感染症の発生を、WHO(世界保健機関)に報告した。
恐るべき疾病となる可能性を秘めていることを、英米のメディア『CNN』『Mirror』ほかが次々と報じている。
■小さな村で最初の患者
2014年に西アフリカで流行り始めたエボラ出血熱の研究の第一人者で、その疾病対策や医療体制の確保に尽力したコンゴ共和国のジャン=ジャック・ムエンベ・タムフム博士。
現在はINRB(国立生物医学研究所)の所長を務めながら、キンシャサ大学で微生物・ウイルス学を教えている。
そのタムフム博士によれば、コンゴのアンジャンドという村で、ひとりの女性患者についてエボラウイルスを含む複数の菌やウイルスの検査を行ったところ、新しい深刻な感染症が確認されたという。
■高い致死率と感染力
WHO(世界保健機関)は現在、その感染症を「将来の流行を引き起こす可能性のある架空の未知の病原体」として分類される『Disease X(疾病X)』の名で呼んでいるが、ウイルスの遺伝子配列を急いで解析する必要があるとしている。
また致死率はエボラ出血熱と同程度の50〜90%と推定され、新型コロナウイルスと同様に感染力が大変強いため、急速に流行が拡大する懸念があるという。
■コウモリは多くのウイルスと共生
重症急性呼吸器症候群を引き起こすことで知られる、SARSコロナウイルスやMERSコロナウイルスなどは、いずれもコウモリに由来することが明らかにされている。新型コロナウイルスも、コウモリからハクビシンなど別の動物を介して、人間に広がった可能性が強く指摘されている。
そしてエボラウイルスも、アフリカの熱帯雨林に生息するオオコウモリが自然宿主だ。コウモリを食べる、あるいはそのウイルスに感染した小動物を食べる習慣がある土地では、捕獲から調理までの間に感染する危険性があるという。
なお、出血をみないケースも増えており、現在は「エボラウイルス病(略称EVD)」と呼ばれるようになっているそうだ。
■人類の今後は感染症との闘い
世界では150種ほど確認されているズーノーシス(人獣共通感染症)には、狂犬病のように深刻で致死的な疾患も多い。
熱帯雨林の破壊によって動物たちが里に現れ、人間が感染している小動物を食べ、コウモリ、ネズミ、昆虫などの近くで暮らしをしている限り、新型コロナウイルスのような恐ろしい病のアウトブレークは避けられない。
ムエンベ博士は『CNN』の取材に、「今後も数々の感染症が出現し、人類はそれとの闘いを繰り返し強いられることになるだろう」と述べている。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)