警察の誤認逮捕に女性が激怒 2億円超の損害賠償金が支払われた理由
誤認逮捕の被害者は、場所、時間帯や状況にもよるが、名誉棄損ほか予期せぬ甚大な被害を受けてしまう。
時おり起きてしまう、警察の誤認による不当な逮捕。それに苦しめられた被逮捕者に対する損害賠償金は、どれくらいの額が妥当なのか。米国・コロラド州でこのほど興味深い裁判が閉廷したことを、デンバーの『Denver Post』『FOX31 Denver KDVR』などが伝えた。
■マスターキーを使った警察官
米国・コロラド州のフレモント郡で2014年5月、郡保安官事務所の誤認により、ホームレス向けアパートに暮らしていたキャロリン・オニールさんという女性に対し、不当な逮捕があった。
アパートに現れた警察官3名は「あなたらしき女性が、このアパートで自傷行為を起こして暴れているとの通報が入った。事情を聴きたい」と説明。
何ら身に覚えのないオニールさんは「私は関係ない。入浴するところなので勘弁してほしい」と断ったが、彼らはアパートのマスターキーを使用し、押し入ってきたという。
■保安官事務所は謝罪するも…
聴かれたことに正直に答えても、それを信用しない警察官。彼らに毒づいたオニールさんは、社会の秩序・風紀を乱す行為、および公務執行妨害の容疑で逮捕された。
しかしその後、逮捕すべき対象はオニールさんではなかったことが判明。保安官事務所は謝罪したが、オニールさんは納得せず裁判に持ち込んだ。
昨年の陪審裁判では「3億7,000万円の損害賠償金が妥当」との結論に至ったが、連邦裁判所の判事は「高額すぎる」としてそれを却下。日本円でおよそ2億5,000万円の損害賠償金を支払うことで、このほど最終的な合意に至ったという。
■入浴直前だと告げたのに…
オニールさんの逮捕には大勢の目撃者がいたわけでもなく、報道もされていないため、その誤認逮捕によって甚大な被害を受けたとは言い難いものだった。
にもかかわらず、それほどまでに高い損害賠償金を受け取ることになった理由は、彼女が「入浴の直前だから」と告げ、実際に全裸だったこと。そんな姿で乱暴にベッドに押し倒され、手錠をはめられていた。
さらに保安官事務所に連行されると、オニールさんはテーザー銃を2発撃たれ、拘束具で腕、脚、胴を椅子に縛り付けられたという。
■血税から支払われる賠償金
一連の出来事に、ただごとではない屈辱感を味わったオニールさん。ひどく抵抗したことで、警察が関連する精神医療施設に連れて行かれるところだったという。
20日には代理人のデヴィッド・レーン弁護士がメディアの取材に応じ、「あり得ない酷さです」と警察を酷評。さらに、「過ちを犯した本人たちがポケットマネーで支払うならともかく、賠償金にはフレモント郡の人々の血税が使用されるんです。なんとも遺憾ですね」と話している。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)