新型コロナ感染の3歳児が脳卒中を発症 右手足が動かず言葉が不明瞭に
小児においても、稀に重症化の例が報じられている新型コロナウイルス感染症。この病気を正しく恐れ、何より感染防止に努めることが重要だ。
小児が新型コロナウイルスに感染した場合、症状を侮ってはならない。みるみる体調を崩して小児多臓器炎症症候群(Multisystem inflammatory syndrome in children・以下MIS-C)という状態に陥ることがあり、なかには脳卒中を起こすこともあるからだ。
米国のメディア『KODE12/KSN-TV』などが警告を込め、ある男児の症例について報じている。
■小児多臓器炎症症候群
12月16日、米国・ミズーリ州チャリトン郡のソールズベリー市で、コルト・パリスくんという3歳の男の子が新型コロナウイルスに感染。食欲が失せぐったりとしていることから、MIS-Cの発症が疑われ、ただちに入院となった。
男児はその後、脳卒中を発症して緊急処置を受けたことが、州立ミズーリ大学付属のウイメンズ・アンド・チルドレンズ病院のポール・カーニー医師より報告された。
■右半身を動かせず…
病室でぬいぐるみを取るため右手を伸ばそうとしたものの、思うように腕や手が動かず、言葉をうまく話せなかったコルトくん。異変を察知した両親が医療スタッフにそれを告げ、脳の検査が行われたところ、左側で脳梗塞が起きていることが判明した。
脳神経内科医のカミロ・ゴメス博士による左脳の血栓除去術は成功。コルトくんは順調に回復中だが、今後、半年間にわたり、抗凝血剤あるいは抗血小板剤アスピリンの服用が必要になるという。
■生涯にわたり検査が必要
米・疾病予防管理センター(CDC)には、乳児から高校生まで1,000件を超えるMIS-Cの症例が報告されており、平均年齢は8歳。有色人種に発症の傾向があることもわかってきている。
全身の血管が炎症を起こす「川崎病」と似ていると言われてきたが、こちらも心臓、血管、肺、腎臓、胃腸、脳、皮膚、眼球、神経系など、全身の様々な箇所に炎症が及ぶという。
MIS-Cは基礎疾患がなくても発症する。さらに、回復後も生涯にわたり継続的な検査が必要になるケースが多いようだ。
■新型コロナ感染は血栓ができやすい
新型コロナウイルス感染後のMIS-Cについては、最近ではロサンゼルスの病院で、心臓に持病がある小児患者が死亡していた。
主治医のカーニー医師は、『KSN-TV』の取材に「私もここでコルトくんと同様の症例を1例診ており、残念ながらそのお子さんは亡くなりました」と述べている。
新型コロナウイルスに感染すると、血栓ができやすくなることはわかっている。脳卒中については20代や50代など非高齢の患者においても発症の報告があり、若年層は感染しても怖くないといった油断は禁物だという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)