『ジュラシックパーク』リゾート建設現場に突如コモドオオトカゲ 作業員が襲われ重傷
大自然のなか、野生の動物が多数生息している国立公園。そこが金儲け主義のテーマパークと化すとは情けない話だが…。
大ヒット映画『ジュラシックパーク』をテーマとした、一大リゾートの建設がこのほどインドネシアのある島で始まった。だが、その現場に巨大なコモドドラゴンが突如出現。建設作業員を襲い、重傷を負わせたことを、英国のメディア『Mirror』『Mail Online』などが報じている。
■リゾート施設の建設が始まる
インドネシアの小スンダ列島にあり、コモド国立公園の豊かな自然が人々を惹きつけてやまないリンカ島(リンチャ島とも)。日本円にして6.7億円の予算が組まれ、この島では先月から、『ジュラシックパーク』をモチーフにしたリゾート施設の建設が始まっていた。
だが今月9日、その現場に巨大なコモドドラゴン(コモドオオトカゲ)が出現。トラックと対峙し、エリアス・アガスさんという46歳の作業員に襲いかかった。
パークレンジャーがなんとか引き離したが、体の数ヶ所を深く切り裂かれたアガスさんは血だらけに。違う島の大きな病院に運ばれ、治療を受けたという。
■小さな動物は丸呑み
「生きた恐竜」ことコモドドラゴンは、体長が約3メートルで体重は約70キロ。イモトが珍獣ハンターを繰り広げるワイルドな番組『イッテQ!』にも登場し、彼女を追いかける姿が恐竜そのものだと話題になった。
昆虫、蛇、鳥からげっ歯類、哺乳類に至るまで何でも捕食し、ときには人も襲い、食う。鋭い嗅覚、2つに割れる長い舌、食いちぎる2.5cm長の鋭い歯は60本もあり、毒も注入する。柔軟な頭蓋骨と顎関節、そして膨らむ胃袋のおかげで、「ヤギより小さな動物なら丸呑み」だそうだ。
■「それじゃまるで動物園だ」
地球上に400万年も前から生息し、現在は生絶滅危惧種として世界に約3,000~5,000頭しか生息していないコモドドラゴン。うち約1,000頭がリンカ島に、約2,000頭が付近のコモド島、フローレス島、ギリモタン島に生息しているという。
環境保護活動家の1人は、「人々は野生のコモドドラゴンを見たくてこの国立公園を訪れている。豊かな自然を破壊して動物園のような施設をつくり、そこを歩き回るコモドドラゴンを見せることに意味はあるのか」と語っており、地元でもこのリゾート建設に首をかしげる者は多い。
■コモドドラゴンは絶滅危惧種
一方で、行政側は「観光客が増えすぎたこともコモドドラゴンに悪い影響を与えている」とし、島の訪問者を減らし、同時に入場料から環境保護予算を確保することが重要だと主張。一歩も譲る気配を見せていない。
多くの観光客が訪れることで強いストレスにさらされているうえ、気候の変化で2050年には絶滅するのではないかと指摘されているコモドドラゴン。彼らがあらゆる意味で確実に守られる方法を、今後とも模索してほしいものだ。
・合わせて読みたい→猛毒魚の棘でアナフィラキシーショック シュノーケリングの16歳少年が死亡
(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)