強姦被害の訴えに行政・医師も中絶を認めず 12歳少女の双子出産で妊娠中絶合法化なるか

心身の成長がまだまだである12歳の少女。彼女に双子の母親になることを強いた行政側に、非難が殺到している。

2020/12/13 07:00

双子出産
(kckate16/istock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

12歳というまだ幼い少女が、帝王切開により双子を出産した。強姦されて妊娠したと訴えているにもかかわらず、中絶が許されない。そんな苦しい状況のなかでの出産だった。英国のメディア『Mirror』『Mail Online』などが報じている。


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■12歳少女が双子を出産

今月6日、アルゼンチン・フフイ州のサンサルバドール・デ・フフイにあるヘクター・クインタナ小児病院で、12歳の少女が双子の赤ちゃんを出産した。

強姦による妊娠だとして中絶を強く希望したものの、州の保健当局がそれを受理せず、やがて臨月を迎えたことが、ある人権擁護団体の調査で明らかになったという。

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■妊娠中絶に厳しい刑罰も

アルゼンチンでは、母体が健康ではない、胎児に遺伝子疾患や深刻な奇形がある、強姦被害での妊娠といった場合、例外的に中絶が認められる。

それ以外の中絶は、医療従事者が最高15年の懲役刑をくらうことがあり、地元の保健当局が受理や手続きをわざと遅らせ、安全な中絶ができなくなるまで時間を稼ぐ例が後を絶たない。

問題は、闇で安価な中絶手術を請け負う人物が現れ、それを頼ったため、大量出血や深刻な感染症で亡くなる少女・女性が少なくないことだ。

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■青春を奪われる少女たち

小学生や中学生を含む未成年の出産が今年だけで685件も確認され、強姦被害の末の出産も少なくないフフイ州。トゥクマン州でも2019年3月、祖母の夫に強姦されて妊娠した11歳の少女が、帝王切開で出産していた。

また今年9月には、コリエンテス州の病院で11歳の少女が男の子を出産。赤ちゃんの父親は母親の交際相手で、お腹がかなり大きくなるまで、誰にも強姦被害を打ち明けられなかったという。


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■妊娠中絶合法化の法案を提出

女性や子供の権利向上を謳う活動家たちが中心となり、「宗教より母体の健康と安全が最優先だ」と訴えるデモが行われるなど、近年この国では妊娠中絶合法化に向けた動きが活発になっていた。

公約にその合法化を掲げていたフェルナンデス大統領は、先月17日に国民議会に法案を提出。2021年2月末までに可決を目指し、こうした悲劇的な出産を少しでも減らしたいとしている。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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