世界で初めて生理用品の無料配布を決めたスコットランド 年間予算33億円の大規模政策
初潮から閉経まで、一生にわたり購入・消費が続く生理用品。その費用を国が負担してくれるとなれば、大変助かるだろう
大変優れた生理用品が揃っていることで知られる日本。だが世界には、生理用品を買える経済的な余裕がないため布などで代用し、時に不潔さが原因となる病気に悩まされる少女・女性たちがいまだに大勢いる。そこでスコットランドでは…。
■取り組みは数年前から
女性議員の数が大変多いスコットランドならではという興味深い話題を、はるか海を渡り『USA TODAY』『7News』などが伝えている。
「生理用品の無料化を実現させて」と望む声に関し、2017年から審議するようになっていたスコットランドの議会。2018年からは小学校~大学・専門学校、そして低所得家庭の少女・成人女性を対象に、生理用品を無料で配布する取り組みを成功させていた。
■コンドームもすでに無料化
望まぬ妊娠や各種の感染症を回避する目的で、すでにコンドームが無料で配布されているスコットランド。それもあって、生理用品を全面的に無料化とする法案を可決させようという動きは、今年になってさらに活発化していた。
配布場所としては、コミュニティーセンター、教育関連施設やドラッグストアなどが候補に挙げられ、経費は年間約33.5億円と試算されたという。
■世界の国々に影響か
その法案がこのほど議会の満場一致により可決され、スコットランドは、世界で初めてナプキン、タンポンや月経カップといった生理用品の無料化が実現することになった。
「この取り組みは、世界の先駆けとして大きな影響力を発揮することでしょう」と話すのは、議会に法案を提出した中心メンバーである、スコットランド労働党のモニカ・レノンさん。
「どの国にも生理用品を購入できない貧困層がおり、その現実にもっと目を向けてほしい」などと訴えている。
■モノをいう女性議員の数
多くの国において、女性議員は女性や子供たちを危険な犯罪から守る法律の成立に寄与し、人権向上を目指すうえで大変貴重な存在だ。
スコットランドの少女たちは強い関心とともに政治、経済や法律を勉強し、選挙権を得るようになると、立候補者の政策によく耳を傾けてから投票するといい、その結果、議会の半数を女性議員が占めている。
世界の平均は24.9%である一方、日本の国会(衆院議員)における女性議員の比率は193カ国中166位。2020年8月の時点で9.9%と相変わらずG20諸国の最下位だという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)