新たな脅威ダークウェブ 7歳男児が誘拐され52日間も行方不明に
最近、耳にすることが増えている「ダークウェブ」という言葉。その恐ろしさをご存じだろうか。
ChromeやInternet Explorer、SafariでのGoogleやYahoo! 検索エンジン上ではヒットしない、特殊なネットワーク上に構築されたウェブサイトである「ダークウェブ」。
そこでは違法性の高い物品の売買がなされているほか、膨大な量の情報が人身上の犯罪にもつながっているため、ネット社会における真の強敵だという。
■非公表の諜報機関から情報
ロシア・ヴラジーミル州のゴルキという村で、9月下旬から行方不明になっていたサフリー・ロゴフツエフ(Savely Rogovtsev)くんという7歳の少年が、このほど52日ぶりに無事保護された。
警察、軍、ボランティアが大規模な捜索活動を行うもサフリーくんは発見されず、両親や警察に強い焦りが見え始めていたなか、欧州を本拠地とする非公表の諜報機関から「行方不明になる前、少年に関する情報があるダークウェブ上に表示されていた」という貴重な情報がロシア内務省に寄せられたという。
■26歳の男を指名手配
サフリーくんは何らかの犯罪に巻き込まれた可能性が高いとみて、内務省は対テロ、対組織犯罪を担当するロシア国家警備隊に捜査への協力を要請。やがて捜査線上にひとりの男が浮かび上がった。
続いて警察は、22.5km離れたマカリハ村の民家でサフリーくんを発見。誘拐容疑で26歳の男の身柄を拘束したことを、インターポール(国際刑事警察機構)に報告している。
■いきなり車に押し込められる
誘拐当時の様子について、サフリーくんは警察に「スクールバスを降りて自宅に向かって歩いていたら、車が近づいてきて力づくで後部座席に押し込められた」と説明。
すでに両親やきょうだいがいる自宅に戻っているが、父親のアレクサンダー・ロゴフツェフさんによれば、誘拐に対する恐怖や不安から重い心的外傷後ストレス障害を発症しているという。
■フィッシング詐欺だけじゃない
日本でも、有名な銀行や通販業者が送信者であるかのように酷似させた電子メールを送りつけ、偽のHPに誘導してIDやパスワード、クレジットカード番号などを入力させる悪質なフィッシング詐欺の被害が後を絶たない。
こうした犯罪も恐ろしいが、このたびのロシアの誘拐事件は、家族がSNSに上げた写真や個人情報がダークウェブに流れた可能性がもっとも考えられる。我が子を守るために親がするべきこと、してはならないことなどを、改めてよく考えてみたいものだ。
■記者も1つのアドレスが流出
なお、迷惑メールが多数入ってくる人は注意が必要とのことで、記者も公私で使用しているメールアドレスについて、ノートンIDアドバイザーでチェックしてみた。
すると1つのアドレスがダークウェブに流出していた事実が判明。それを利用してアカウントを作り、様々な取引をしていた通販や旅行関連のウェブサイト多数について、パスワードの変更や解約など大変な作業に追われてしまった。
同じパスワードの使い回しは避ける、被害を拡大させないための手段はこれしかないようだ。なお、ノートン・ライフロック(Norton LifeLock)社では、2019年に日本で個人情報の盗難被害に遭ったのは500万人ほどと推定しているという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)