連続強姦殺人事件の真犯人が警察に「捜査がお粗末」 20年服役の冤罪被害者に謝罪も

凶悪事件の犯人は、何としても時効の前に検挙してほしいもの。しかし誤認逮捕や自白の強要、冤罪での投獄などはあってはならない。

2020/11/08 06:00

法廷
(whim_dachst/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

韓国で30年ほど前に起きた連続強姦殺人事件について、2006年4月までにすべての件で時効が成立していたにもかかわらず、今月2日に再審がスタートした。国民の大きな注目が集まるなか、真犯人とされる被告から思わぬ発言が飛び出し、警察を苛立たせている。


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■誤認逮捕を繰り返した警察

韓国・京畿道華城郡(現・華城市)周辺で1986年から1991年にかけ、10代から70代までの少女および成人女性10人が、次々と連続強姦殺人事件の犠牲になった。

当時、京畿南部地方警察庁は目撃情報を基に、犯人の身長は160~170cm、20代(1960年頃の生まれ)で痩せ型などの特徴を示したが、誤認逮捕を繰り返すばかり。2003年には、そのミステリアスな展開がモチーフとなった映画『殺人の追憶』が生まれている。

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■犠牲者は計14名

最後の事件の時効が2006年4月に成立した後も捜査を続けてきた同警視庁は、最新技術によるDNA検査を経て昨年9月、ひとりの男を事件の犯人として特定した。

1994年に妻の妹を強姦・殺害して無期懲役の判決により、釜山の刑務所に収監されているイ・チョンジェ(Lee Chun-jae)という受刑者だった。

一連の事件について再審がスタートし、このほど京畿道の水原市にある裁判所に出廷した現在57歳のイ被告は、10件の連続強姦殺人事件以外にも同様の事件を4件起こしたと自白し、法廷をざわつかせた。

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■20年服役した冤罪被害者も

イ被告は法廷で、自分に代わり、2008年の出所まで20年もの服役を強いられたユン(Yoon)さんという冤罪の被害者に、まずは謝罪した。ユンさんは1988年に起きた13歳少女の強姦殺害事件に関して自白を強要され、服役中は一貫して無実を訴えていた。

続いてイ被告は、警察の捜査や余罪追及の甘さを厳しく指摘した。何百人もの警察官が接触を図り、犯人の特徴と似ているにもかかわらず、質問の内容は「あなたの周りに不審な人物はいませんか」ばかりだったという。


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■余罪が発覚せず拍子抜け

1994年に別件で逮捕された際、イ被告は警察の取り調べのなかで過去の連続強姦殺人事件も発覚すると覚悟していたが、まったく余罪の追及がなかったことに「ただ驚いた」と述べている。

事件の被害者の遺族、そして冤罪の被害者であるユンさんとその家族は「警察の捜査はずさん」と批判の声をあげてきたが、その通りだったようだ。

その後、イ被告は「罪を悔い改め、反省とともに残された人生の日々を刑務所で過ごしていきます」と述べ、深々と頭を下げてから退廷したという。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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