安楽死を待つ末期がんの女性 コロナ禍で狂った人生設計に同情の声
もう間もなく亡くなる運命にある女性が、新型コロナウイルスの感染拡大のせいで、最後の思い出作りを断念するはめになった。
大切な人たちとなるべく長い時間を過ごし、安らかに旅立ちたい。そう願っていた末期がん患者である女性の予定が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、完全に狂ってしまった。現状を「悪夢」と語る女性は、それでもより穏やかな最期の瞬間を求め、海外に向かうという。
■余命わずかと判明
イングランドで暮らすある女性(45)は、昨年9月にステージ4の乳がんと診断された。
今年8月には肝臓にも転移が認められ、余命は長くないことが判明。女性はホスピスで治療を受けながら頑張ってきたが、薬をどれだけ使っても痛みを緩和できない状態まで体調は悪化した。
吐き気、ひどい倦怠感、そして体の激しい痛み。それらが悪化するばかりとあって、女性は「もだえ苦しみながら死ぬより、スイスのクリニックで安楽死したい」と望むようになった。
■コロナ禍で砕かれた夢
少しでも動けるうちに、思い出を作っておきたい。そう考えた女性は、夫とのイタリア旅行を検討するように。
家族ともう一度ゆっくり散歩してみたい、友達とも会ってアフタヌーンティーを楽しみたいとも願っていたというが、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらないイングランドは、再びのロックダウン(都市封鎖)に向かうことになってしまった。
スイスへの移動が不可能になれば、安楽死する計画も実行には移せなくなってしまう。そこで女性は、大きな決断を下す必要に迫られた。