学術会議の任命拒否問題に野党・学者・市民が猛反発 「学問の自由の侵害」
菅義偉首相は、日本学術会議に6名の研究者を任命拒否。野党や学者から強い反対意見が続いている。
■任命拒否の早大教授に野党が合同ヒアリング
6日午前に野党が担当官僚を招いて開いた野党合同ヒアリングには、任命を見送られた岡田正則早稲田大学教授(行政法)が出席。
岡田氏は「国民に責任を負えないから任命できないんだっておっしゃったわけですね。私がどうして国民に責任を負えないと内閣総理大臣は評価したんですか」と官僚に説明を求めた。
内閣法制局担当者は「あくまで解釈というか規範的な部分で述べているだけであって、個別具体的にどうかっていうのは、こちらからお答えする立場にはありません」と”官僚答弁”の手本のような回答をした。
■研究者からも異議
6日午後には学者・研究者でつくる「立憲デモクラシーの会」が衆議院議員会館内で会見を行った。
山口二郎法政大学教授は、会員の推薦をめぐる「各専門領域での研究者による評価を政府が『広い視野』という名目に基づいて覆すことは、学問の自由の侵害そのものだ」と批判し、「首相は今回の権限行使を直ちに撤回し、6名の候補者を会員に任命すべき」と求めた。
石川健治東京大学教授は、任命拒否は「『学問の自由』の核心である学問・専門分野の自律性、自主性への介入だ」「6人の属性や適性に議論が矮小化される傾向があるが、そうではなく、国民の自由の問題だ」と主張。
2011年から2017年まで学術会議会員だった杉田敦法政大学教授は、「多くの研究者が政策に関わる発言をしない方がいいと考えれば、政策の検証や助言はできなくなってしまう。波及効果はかなり大きく、学術会議だけの問題ではない」と危機感を示した。
6日夜は官邸前に市民が集まり、プラカードを掲げて抗議活動を行った。今回の任命拒否をしたのは菅首相自身。会見を開くなり、国会の委員会に出席するなどして、説明責任を果たすことが求められている。
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(取材・文/France10・及川健二)