万引き少年の指4本を切断 10ヶ月の服役に加えイラン最高裁が刑執行を指示
初めて万引きした少年に対しても、甘い顔を見せるのは禁物。この国の大人たちはそう考えているという。
スーパーマーケットなどで万引きをして捕まった少年。きちんと謝罪し、反省の色が見られたとしても、それでも拷問ともいえる厳しい刑罰は必要なのだろうか。驚くようなニュースがイランから伝えられ、波紋を広げている。
■万引きの初犯にも厳罰
イラン・西アザルバイジャン州オルーミーイェで昨年11月、ハディ・ロスタミ、メーディ・シャラフィアン、メーディ・シャヒヴァンドという10代の少年3人が万引きで捕まり、少年刑務所に投獄されていた。
万引きの初犯で10ヶ月間も服役するなど日本では考えられないことだが、イランは「それだけ」で少年たちを釈放してよいのか、さらに審議する極めて厳しい国だ。
■卓上丸ノコに血しぶき
3名は少年刑務所での服役に加え、体罰として利き手である右手の指4本を、卓上丸ノコで切断されることになった。
古典的なシャリーア(イスラム法)を支持するイラン最高裁は、「それだけは勘弁してやってほしい」と懇願する家族や人権擁護団体の訴えを退け、イスラム刑法278条に基づく指の切断は妥当だとして刑の執行を指示した。
少年たちはすでに4本の指を失っている可能性が高いと報じる海外のメディアは多い。
■「単なる拷問」と人権擁護団体
厳格なシャリーアの下、殺人、放火、強姦、児童虐待、麻薬密売、武装強盗、売春、毒物混入、ポルノ、反政府活動、治安びん乱、テロ・軍事活動、神への冒涜行為などは死刑になるイラン。
切断、鞭打ち、石打ちの刑も合法であり、それが原因で死亡することがあっても執行人は責任を問われない。驚くことに指の切断は、万引きのなかでも特に初犯が対象となる「甘い刑罰」だという。
それに対し、世界最大の人権擁護団体『アムネスティ・インターナショナル』などは「拷問の行為。国際法上、容認できるものではない」と反論し続けている。
■古き悪しき時代に逆戻りか
今、世界の主要メディアが「ただ残酷。やり過ぎだ」といった批判を込めてこの件を報じているが、イランの刑法に詳しい専門家は「指の切断という刑罰が執行されるためには、犯罪の内容および被告人について計13の条件を満たしていることが必要となります」と語っている。
近年は、ほとんどの裁判官が『13のうち1つを満たしていない』といった判断を下し、刑が安易に執行されないよう抑えていたという。古き悪しき時代への逆戻りを心配する声は多い模様だ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)