母親の恋人に妊娠させられた10歳少女 中絶を認めない医師に批判集まる
母親の恋人に乱暴されているという事実を、誰にも相談することができなかった10歳の娘。その男の子を宿し、月経が止まっても黙っていた。
海外では、望まない妊娠をした女性の中絶を認めないという国が少なくない。また、そういう国では強姦被害など合法な理由があったとしても、中絶の希望を受け入れない病院が圧倒的に多いという。そんな話題がアルゼンチンから伝えられた。
■母親の恋人に強姦された少女
アルゼンチン・コリエンテス州のモンテ・カセロスにある大型の産婦人科病院。ここに、もうすぐ帝王切開で男の赤ちゃんを出産する11歳の少女が入院している。
その母親は当時10歳だった少女を連れ、31歳の男の家で同居生活をしていたが、関係が悪くなり今年初めに破局。家を出た2ヶ月後、少女のお腹が大きいことに祖母が気付き、そこで強姦の被害と妊娠が発覚した。
■医師が中絶に反論
母親と娘は直ちに産科を受診し、中絶を希望すると告げた。しかし医師は「手術は危険。頑張って産み育てて」と諭すばかりだった。ますますお腹は大きくなり、最近では地元の教会が少女のためにベビーシャワーを主催。祈りを捧げ、大量の育児用品を贈った。
強姦の被害を長いこと隠していた少女の苦悩を考えれば、おめでたいと祝福するようなケースではないはずだが、教会側は「赤ちゃんも大切な命、祝福を受ける権利がある。性的暴行を働いた男にはいずれ裁きが下ることを期待したい」と話したという。
■ブラジルの被害者少女は…
じつは最近、ブラジル・エスピリトサント州でも10歳の少女が叔父に強姦されて妊娠する事件が起き、そちらと比較する記事も多い。
その少女の場合、活動家の強い反発で病院が中絶手術を拒否したが、裁判官の介入で手続きが進み、先月中旬に自宅から900キロメートルも離れた土地の病院で中絶手術が行われた。
幼い年齢での出産は危険なものだが、なぜアルゼンチンの少女は中絶を許されなかったのか、命を軽視していると医師に対し批判が集まっている。
■レイプ事件が多発
二国ともに、中絶反対の立場をとるカトリックの影響を強く受けているが、母体に健康上の問題がある、胎児の深刻な奇形や遺伝子疾患が判明した、強姦被害にあったなどの場合のみ、手続きはきわめて煩雑だが中絶を法で認めている。
ところが現実には、幼い女の子が強姦被害で妊娠しても「中絶は非合法」と殆どの病院が処置を拒み、仮に受け付けた場合でも大変高額な費用を請求することが多い。ブラジルでは近年、13歳以下の少女が1時間につき4人も強姦の被害にあっているという。
■エセ医師による中絶行為も
政権が交代したアルゼンチンでは今年3月、フェルナンデス大統領が女性の権利や自由意志を尊重する観点から、望まない妊娠も含め、中絶を合法化するよう国会で改めて審議したいと発表していた。
理由のひとつは、前政権下で同じ法案が2年前に否決されていたが得票数が僅差であったこと。もうひとつは、望まない妊娠でエセ医師による安価な中絶手術を受け、感染症などで命を落とす女性が後を絶たないことだという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)