倒れた従業員を傘3本で隠し放置 営業を続けたスーパーの非情ぶりに批判殺到
救急車の到着を待つまで倒れた人を放置。顧客であっても従業員であっても許されることではない。
店や施設で重病人が発生した場合、責任者は緊急通報するとともに、命を助けるための努力を最優先するべきだろう。そして万が一の場合にも、命の尊厳を重んじる姿勢をとるべきだ。
■突然倒れた販売部長
ブラジル北東部ペルナンブッコ州にある港湾都市レシフェ。8月14日午前8時頃、大手スーパーマーケット『カルフール(Carrefour)』で、マノエル・モイセス・カヴァルカンテさんという販売部長の男性が突然倒れ、死亡した。
その後、誰もが「人の命をここまで軽く扱うとはいかがなものか」と不快に感じる状況が繰り広げられ、波紋を広げている。
■大きな傘で覆い隠す
倒れたまま意識を失ったマノエルさんのために通報がなされたが、ブラジルでは救急車の出動・到着自体が遅い。脳卒中も予想され、彼の体をむやみに動かすことが許されないなか、店長は店の営業を続けることを決めた。
大きく広げたアウトドア用の傘3本で倒れているマノエルさんの体を覆い隠し、その周囲をベニヤ板や積み上げられたビール入りの段ボール箱で囲んだという。
■「人の命より収益が優先か」
『カルフール』で懸命に働き、販売部長のポジションに就いたのだろうマノエルさん。その最期の姿は、あまりにも気の毒なものだった。
写真の投稿により、この話題はさっそくソーシャルメディアで炎上。「心肺蘇生くらいしてあげて」「人の命より収益が優先なのか」と店を批判するコメントで沸いている。
一方、買い物客の間からは「横たわる遺体の脇を歩いていたと思うとぞっとする」との声も上がったという。
■正式に謝罪するも…
事態を重く見たカルフール・ブラジル社の本部は、店側の判断やそれに伴う行動が不適切だったことを認め、19日に遺族や顧客に対して正式に謝罪した。
仮に倒れたのが従業員ではなく顧客だったとしても、同じ扱いを受けていたのだろうか。店側は「意識なく倒れている者を動かしてはならないというガイドラインに従った」と説明しているが、救急車の到着まで、誰かしらが付き添うべきだったという見解もある。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)