抵抗した6歳の子の目の前で… 父親が母親をコンクリートで13回殴り殺害
被害者はなぜ当局に相談せず、こんな狂暴な男をそのまま同居させていたのだろうか。
体も大きく腕力の強い父親。どんなに歯向かったところで、手も足も出ないことを幼い子供たちはわかっている。それでも彼らは事件当日、怒り狂う父親の暴力から大切な母親を守ろうとした。
■子供が父親の母親殺しを目撃
昨年11月下旬、ニュージーランド・ワイカト地方のハミルトン市で、父親が子供たちの目の前で母親を惨殺するという、極めて悲劇的な家庭内暴力致死事件が発生。そして先日、裁判が結審した。
殺害されたのは、6歳から14歳まで8人の子を育てていた主婦のクリスタル・リー=セルウィンさん(38)。子供の父親による激しい暴力で血まみれになり、大変むごたらしい最期だった。
■被告には愛着障害の問題
事件を起こした父親であるルーベン・ポール・ピーニ被告(36)は、クリスタルさんとは18年にわたるパートナーで、8人のうち6人の子の実父。事件当時ふたりは男女としては破局していたが、経済事情や育児負担を理由に同居は続いていた。
2008年には別の交際相手にも暴力をふるい、有罪判決を受けたピーニ。その際には、幼少期における親の養育放棄が原因となる「愛着障害」の問題を指摘されていたという。
■重さ7キロの鈍器で13回も…
諍いの種と飲酒量が増え、ピーニに粗暴な態度が目立つようになったなか、とうとう極めて陰惨な事件が起きてしまった。
ピーニは隣家の歩道の舗装に使用されていた7キロのコンクリート平板を、クリスタルさんの頭部に13回も振り下ろした。クリスタルさんは自ら警察に「元パートナーの同居人に殺されそうで怖い」と通報し、脳挫傷で病院に搬送されたが、脳死状態のまま3日目には生命維持装置が外されたという。
■トラウマと闘う子供たち
家庭内暴力に端を発した傷害致死事件の裁判が、ハミルトン高等法院で少し前に結審。ピーニ被告には最低でも懲役15年を義務付ける実刑判決が言い渡された。
また、子供たちの数名が現場で一部始終を目撃しており、14歳と6歳の子が父親の暴力を止め母親を守ろうと必死だったこともわかった。
父親も母親も失った彼らは今、いつ癒えるのかもわからないPTSD(心的外傷後ストレス障害)と闘っている。事件の性質や陰惨さから、長きにわたる観察が必要だろう。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)