ジェルボール洗剤食べた幼児の消化器官が焼けただれる 床に落ちた1個だけで…
赤ちゃんはハイハイができるようになると自由に動き回ってしまい、ますます目が離せなくなる。
幼い子の不慮の事故のほとんどが、親が目を離した隙に起きている。そのうち誤飲の比率は常に高いが、多くが子供にとって「美味しそうに見えるもの」で起きていると言えるのではないだろうか。またひとつ、痛ましい誤飲事故の話題が海外から伝えられた。
■育児はベテランの両親
スコットランド・イースト・ダンバートンシャーのレノックスタウン区に暮らす、デヴィッド・シェパードさん(36)とパートナーのメリッサ・ケアニーさん(27)。
2人は10歳、7歳、3歳、2歳、そして生後10ヶ月の5人の子供を育てる目まぐるしい日々を送っていた。そんな中、思わぬ悲劇が末っ子のピアース・シェパードくんを襲ったという。
■母は夕飯の支度で気づかず
当時、母親のメリッサさんはキッチンで夕飯の支度に追われ、ハイハイができるピアースくんは誰にも気づかれずに洗濯機に近寄っていた。
そこで洗濯用のジェルボール1個を発見したピアースくん。口に含んで歯を立てたことから主成分の界面活性剤、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルエーテル硫酸エステル塩などが瞬時に口に広がった。
■焼けただれた消化器官
メリッサさんは車にピアースくんを乗せ、グラスゴーのクイーンエリザベス大学病院/王立子供病院へ。ところが車内で嘔吐と下痢が始まり、顔色が悪くなっていった。
内視鏡や画像診断により、消化器官の粘膜が焼けただれ、呼吸器が腫れ、肺水腫が起きていることがわかった。現在は安静を期すため意図的な昏睡状態にある。
完治への期待について医師は「わからない」と話しており、何らかの後遺症が起きる可能性があるため、しばらくは集中治療室での観察が続くという。
■握るだけで裂けるフィルム
子供たちの手が届かないよう、ジェルボールが入ったケースを常に高い所に置いていたメリッサさん。床に1個落ちていたことには全く気づかなかったそうだ。
またメリッサさんは、メディアの取材で「有毒な化学物質だとは理解していましたが、わずか1個のジェルボールで命の危険に晒されるとは…」と絶句している。そして世界中の親たちに、保管には十分気を付けてほしいと呼びかけた。
ジェルボールに関する事故のほとんどが3歳以下で起きているが、水に溶けやすいフィルムは弱く、子供が握った勢いで目に入る事故も多いという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)