失った陰茎を腕で再建した男性 新型コロナで股間に移植できずシャツで隠す日々
新型コロナウイルスの影響で、大都市の大きな病院ほど不要不急の精密検査・入院・手術に対応できなくなっている。
事故や病気など、人は思わぬ理由で身体の一部を失うことがある。深刻な感染症により30代の若さで陰茎を失った男性。その後、最新の医療技術を頼りに体の別の場所を使って再建が試みられたが…。
■感染症で陰茎が壊死
英国・ノーフォーク州で整備士として働いているマルコム・マクドナルドさん(45)。妻子もある彼は2014年に深刻な感染症にかかり、組織が黒く壊死した陰茎の切除を余儀なくされた。
酒におぼれる自暴自棄の生活が2年ほど続いた彼はある時、腕の皮膚を利用して陰茎の再建術に取り組んでいる権威がロンドン・ユニバーシティカレッジ病院にいることを知った。
■肘下の内側に2年かけて
かつての男性らしい姿と自然な排尿方法を取り戻したいと考えたマルコムさんは、藁をもすがる思いで陰茎の再建術に飛びついた。その道の権威である同病院のデヴィッド・ラルフ博士により、新しい陰茎は左の前腕皮弁を利用し、2年間かけて育ぐまれた。
血管と神経も通っており、見た目も細部まで工夫がなされ、ハンドポンプで膨らむチューブを内蔵。これにより排尿ばかりか勃起も可能になると説明され、マルコムさんの心は踊った。
■悪すぎたタイミング
「新しいムスコには“ジミー”と名付けた」と語るマルコムさん。ラルフ教授にお願いし、サイズも通常より5cmほど長めにしてもらったそうだ。しかし2018年、いざ股間にそれを移植しようとした時にマルコムさんの体調が万全ではなく、延期が告げられてしまった。
満を持して今春にやっとその時が訪れたが、今度は病院側が新型コロナウイルスの感染拡大で不要不急の入院、手術を控えることになり、移植手術に対応できなくなった。
■長袖シャツで隠す日々
マルコムさんは現在、肘の下に再建された10cmほどの陰茎を長袖シャツで隠している。だがパブで飲んでいるときに気の緩みでシャツをまくり上げ、周囲を仰天させることも。そんな時は事情を説明をし、豪快に笑い飛ばすことにしているそうだ。
メディアの取材には「年末までには何としても移植手術を行ってほしい」と話すマルコムさん。新型コロナのせいとはいえ、あまりのタイミングの悪さにイライラが募るばかりだという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)