寄生虫が棲みつき肝臓を半分切除した男性 半生の魚料理が原因で…
肝臓という大切な臓器。これを半分も切除されてしまうとは、寄生虫を侮ってはならない。
刺身や寿司が好きだという人たちは、鮮度と寄生虫には特に気をつけなければならない。また火を通す魚料理でも“半生”は厳禁だ。このたび50代の男性に関する恐ろしい症例が報告された。
■肝臓の半分を切除
中国・浙江省の浙江大学医学院附属杭州市第一人民病院。ここの医師から報告された寄生虫に関する感染症の症例が、「怖すぎる」と話題を呼んでいる。
半生の魚の摂取により寄生虫が男性の体内に入り込み、肝臓に棲みついてダメージを与えていたことが判明し、肝臓の半分を切除する大手術が行われたというのだ。
■半生で食べる魚の珍味
「Xieさん」とだけ明らかにされた55歳の男性は、例えようのない疲労感、食欲不振、腹痛、下痢に4ヶ月間も苦しみ、市販薬などで解消されないことから、同病院で精密検査を受けた。画像診断で判明したのは、寄生虫が肝臓の左葉に棲みつき、大量の卵を産んでいるという事実だった。
食生活についての質問を受け、男性は医師に「半生の魚の料理を食べた覚えがある」と回答。一瞬だけお湯にくぐらせて食べる珍味のような魚料理だったという。
■膿の入った巨大な嚢胞
膿がつまった19×18×12cmという巨大な嚢胞の存在で、Xieさんの肝臓は左葉が肥大していた。医師はまず、膿や液体を抜き取ることで嚢胞の大きさを半分に減らし、3週間後に改めて画像診断を行った。
そこでたくさんの卵と炎症部分、そして腫瘍の存在も確認され、左葉の切除はやむなしとの判断に。このような症例は初めてだといい、医師は「強いショックを受けた」と説明している。
■ヒトの体内で20〜30年も…
問題の寄生虫は、生あるいは半生の魚を摂取することで肝臓のほか、血管、消化管、肺に寄生する「肝吸虫(クロノキアシス)」。成虫の体長は約1.5cmで幅は0.7~0.8cmという、平たいヤナギの葉のような形で知られている。
肝吸虫の繁殖力は強く、1400個以上の卵が産まれて小腸内で孵化し、壁を突き破って血管内を移動しながら肺や肝臓へ。成虫になればまた卵が産まれるため、ずっとそのサイクルが続く。
こうしてヒトの体内で20〜30年も生き続けるなか、肝硬変や胆管がんを発症させることがあるが、初期~中期の段階で本人が感染に気づくことは難しいという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)