ガン死の母を追い13歳娘が自殺 支えてきた父と祖母の落胆は大きく…
祖母2名の力を借りながら父親は娘にできる限りのことをし、年月もそれなりに経過した。にもかかわらず、思春期の娘の心はむしろ脆弱になっていった。
若くして妻がガンで亡くなり、それを追うように13歳の娘まで自ら命を絶ってしまった。測り知れない無念さと闘っている男性。人生、こんな悲しいことがあってよいものだろうか。
■寝室には大量の薬
英国・エセックス州のヘイブリッジで昨年9月、エリーズ・サンボラさんという少女が自宅の寝室で遺体となって発見された。13歳の若さだった。
遺書はないものの、日々の辛い気持ちを綴った日記が発見され、キャビネットには大量の薬が。司法解剖でも薬物の過剰摂取が認められ、事件性が疑われないことなどを理由に、このほど州の検死法廷はその死を「服毒自殺」と断定した。
■日記には本心を…
わずか13歳にして自ら命を絶ってしまったエリーズさん。学校では成績も優秀で、優しくユーモラスな性格で誰からも慕われていたといい、イジメ被害も確認されていない。しかしエリーズさんの日記は、悲しみ、不安、孤独感に満ちた暗いものだった。
その根底にあったのは愛情深かった母親の死。エリーズさんが2歳の時に乳がんを発症した母ローナさんは、8年にわたる闘病生活の末、2015年1月に他界していた。激しく落ち込んだエリーズさんを、父親と2名の祖母が心身両面で懸命にサポートし続けたという。
■大きすぎる2つの難題
精神心理学の専門家は法廷で、エリーズさんが幼くして経験し、一見乗り越えたようにも見えた2つの難題について解説している。
1つ目は、幼児期のすべてを通して家族の闘病に寄り添っていたこと。ところが一人娘であるため、エリーズさんは漠然と抱えている不安、絶望感や恐怖をきょうだいと共有することができていなかった。そして2つ目は、わずか9歳で大好きな母親と死別したことだ。
その悲しみを乗り越えられないうちに、多感で衝動的な行動に走りがちな思春期が訪れた。このことも悲劇をもたらした原因であろうという。
■先に逝った親を追う子も…
幼くして大好きな親と死別することの悲運。しかし周囲の温かいサポートがあれば、年月の経過とともに、ほとんどの子供が次第に心に明るさを取り戻すものと考えられてきた。
しかしエリーズさんのように、心の奥底に居座り続ける暗い気持ちを克服できず、先に逝った親を追うという悲しい事例もゼロではない。
そんな状況にある子供に対しては、無我夢中で没頭できる楽しい趣味を見つけるよう導くことが大切だとよく言われるが、行き詰った時には電話相談などカウンセラーの力に頼ってみる気持ちも重要だそうだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)