新型コロナ重症化した妊婦が帝王切開後に死亡 妊娠中は免疫力が低下
どこで新型コロナウイルスにうつったのか、感染経路がわからない妊婦。重症化したなかで帝王切開が行われたが…。
新型コロナウイルス流行の「第2波」に対する不安がますます募るなか、それを食い止めるカギを握るのは20代、30代など若い世代だともいわれている。交際範囲に妊婦や乳幼児がいることも多い世代だけに、「感染してもどうせ無症状か軽く済む」などと考えるのは禁物だ。
■誰もが安全なお産を期待
ブラジル・サンパウロ州のボツカツ市で先月27日、ラリッサ・ブランコさんという24歳の女性が帝王切開により双子を出産した。だが直後に大量出血し、輸血の効果もなく死亡したという。
ラリッサさんは妊娠後期に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への感染が判明しており、しかし世界から多くの報告があるように、感染していても安全なお産が叶うものと期待されていた。
■高熱に咳症状が悪化
夫のディエゴ・ロドリゲスさんによれば、ラリッサさんは5月下旬に突然の高熱と咳でインフルエンザのような症状を呈し、それが悪化したため2週間後に病院へ。6月12日の検査で新型コロナウイルスへの感染が判明した。
慎重な観察が続くなか別の病院に転院したラリッサさんは、6月27日に双子の赤ちゃんを帝王切開で出産。赤ちゃんたちは無事だった。
■緊急の輸血も効果なく
ところがラリッサさんの子宮は出血が止まらず、緊急で輸血が行われたものの、心停止の状態に陥ってしまった。「新型コロナの感染さえなければ助けられた命」と医師は説明したという。
妻の死で悲しみのどん底に突き落とされてしまったディエゴさんだが、「私に生きる力を与えるため、神様は妻に美しい天使を2人残させたのかもしれません。この子たちの世話を今後の人生の生き甲斐とします」などと話し、何とか気丈に振る舞っている。
■妊娠中は免疫力が低下
妊娠中だと、より新型コロナウイルスに感染しやすくなるといったデータはなく、また感染した母親から誕生した新生児が必ずしも陽性であるとは限らない。しかし、胎児を「異物」と捉えて攻撃しないよう妊娠中の女性の免疫力は下がっている。このことには十分な注意が必要だ。
ブラジルでは5日現在、157万人を超す新型コロナウイルス感染者と64,000名を超える死者が確認されているという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)