中国で怪しい粉ミルク事件が再び 赤ちゃんにくる病や巨頭症、発達障害も…
「最高級品」と薦められ購入した粉ミルクで、健康だったはずの赤ちゃんに徐々に被害が出てきた。親にとって、これほど腹立たしいこともないだろう。
体が小さく弱い乳幼児には、良質な粉ミルクを飲ませてあげたいものだが、それでアレルギーを起こす場合は代替品を考えなければならない。そして医師やショップは、信頼できるメーカーの安全性に優れた商品を家族に薦めるべきだが…。
■「特殊医学用途調製食品」の表示
中国・湖南省の郴州(チンシュウ)市で、「特殊医学用途調製食品」として販売されていた缶入りの粉ミルク。実は単なるプロテイン・ドリンクで、乳幼児にさまざまな健康被害をもたらしていることが先月中旬に発覚し、子育て世代を不安にさせていた。
問題になっている商品は、湖南ウェーブロック・ヘルス・インダストリー社の傘下にある健康食品メーカーが製造し、主にミルクアレルギーと診断された赤ちゃん向けに販売されていた『倍氨敏(Bei An Min)』だ。
■低体重から巨頭症まで
『倍氨敏』を販売していたのは、同市永興(えいこう)県にある小児科病院の目の前の健康食品ショップ。医師の奨励により昨年の10月までに47缶が販売されたが、飲み続けた複数の赤ちゃんに健康被害が生じていることが徐々にわかってきた。
栄養失調による低体重、湿疹、ビタミンD欠乏症による重い「くる病」は骨格の変形をもたらし、深刻なケースでは「巨頭症」、つまり頭蓋骨の変形で頭が異様に大きくなってしまったという。
■発達の遅れを指摘される
このたびの話題は、『倍氨敏』の被害者に発達の遅れが新たに確認されたこと。
ある家族が「粉ミルクの中でも一番人気の最高級品」と店員に強く勧められ、それを信じて半年間赤ちゃんに飲ませ続けたところ、1歳6ヶ月になっても歩行を開始せず、医師から発達障害を指摘されたという。
無責任はなはだしい販売だと訴えた家族に対し、ショップは200万元(日本円で約3,088万円)の賠償金を支払い閉店。一方、メーカーは「国が定めた品質の安全基準を満たしたプロテイン・ドリンクだと明示してきた」とし、責任は負わないと主張している。
■粗悪な粉ミルクが次々と…
郴州市では、2019年にも問題のある粉ミルクで乳幼児が巨頭症を発症しており、まだ1年も経っていなかった。
その被害者家族たちが地元行政に対し厳重な処罰を求めたのは今年3月のことで、健康食品の安全性について監視を怠っていたとして、永興県の職員2名が辞任に追い込まれたばかりだ。
また2008年に中国で起きた「メラミン混入粉ミルク事件」では、少なくとも6人の赤ちゃんが死亡し、約30万人が体調不良や病気を発症していた。
安心・安全な粉ミルクを海外のショップで購入する中国のママたちは多く、爆買いの様子には様々な意見が出るだろうが、赤ちゃんのためにそれなりの根拠があっての行動なのだろう。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)