45歳の親戚と性交した16歳妹を惨殺した兄たち 主張した名誉殺人とは
両親や親族が、縁談で女の子の結婚相手を決めることが多いイスラム教の人々。背けば命を奪われるなんて…。
かわいい妹の幸せな人生を、祈らない兄はいないだろう。妹が軽率な行動に出たら、家族であり人生の先輩として、苦言を呈することもあるはずだ。しかし、そこでなぜ凶器を手にしてしまったのだろうか。
■16歳少女が45歳の男と恋愛
インドネシア・スラウェシ島南部のバンテン州で、ロズミニ・ビンティ・ダーウィスさんという16歳の少女が、2人の兄に惨殺されるという事件が起きた。
遠い親戚にあたるウスマンさんという45歳の男性と、極秘の恋愛関係にあったと考えられているロズミニさん。「すでに肉体関係にある」と告白し、家族を激怒させたことが事件の発端だった。
■男は認めず結婚も拒否
ダーウィス家の人々は、まずウスマンさんを急襲。丸太で殴り、隣家の若者に凶器を突き付けて人質にとり、「妹と結婚しろ」とウスマンさんに強く迫った。
しかしウスマンさんはロズミニさんとの肉体関係を認めず、結婚も拒否して逃走。家族の攻撃の矛先はロズミニさんへと向けられた。
兄ラーマン(30)とスリアント(20)は、ロズミニさんの頭をつかんでブロックに激しく打ち付け、マチェーテと呼ばれる大きな刀で全身を滅多切りに。現場は血の海と化した。
■兄2人は名誉殺人を主張
その後、警察はダーウィス家7名の身柄を拘束。2人の兄は殺人容疑で逮捕されたが、「妹はとんだ恥さらし。これは家族の名誉を回復させるための名誉殺人」と訴え、無罪を主張しているという。
ロズミニさんとウスマンさんの関係は、片方が未成年者かつ婚前交渉でもあり、イスラム教徒の間では受け入れられていない。昨年にはインドネシア政府が法でもそれらを禁じる動きをみせ、若者たちの反発を買っていた。
■毎年世界のあちこちで…
南アジアおよび中東の、特に厳格で保守的なイスラム教徒が集まる地域において、「名誉殺人」は親族の男たちによりたびたび行われてきた。婚前交渉や不倫、駆け落ち婚ばかりか、親が取り決めた縁談の拒否も家族の名誉を汚す行為とみなされる。
国連は、毎年世界中の約5,000名の女性がそうした理由で殺害されていると推定している。
9割以上がイスラム教徒というインドネシア人だが、「マイルド・イスラム」と称されることも多く、このような名誉殺人事件は近年まったく起きていなかった。それだけに、女性たちの間で強い衝撃が走っているという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)