新型コロナ感染者が日本と同数で死者は3分の1 医療先進国イスラエルの対策とは
新型コロナウイルスをうまく抑え込んでいる国々。特にイルラエルの優等生ぶりは世界の注目の的だ。
「強制力を持つ厳しい都市封鎖を強いなくても、新型コロナとうまく対峙し、感染者も死者もよく抑えている」と、海外から評価も得ている日本。
しかし、感染者数についてはPCR検査の数自体が少なすぎるという批判もある。そんな中、欧米諸国が「真の実力者」として注目しているのがイスラエルだ。
■驚異的に低い死亡率
5月31日午前9時現在、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染者数は日本より200名ほど多い17,012人と発表されているイスラエル。回復して退院した者も14,800名を超える多さで、死者数は日本の3分の1となる284名に抑えられている。
わずか0.01%という驚くほど低いその死亡率。欧州の複数の国が10%超であることを考えれば、イスラエルの感染症予防対策、医療体制・技術がいかに優れているかがよくわかる。
■欧米諸国が苦戦するなか…
参加者の間でウイルス性感染症が広まりやすい集団礼拝の習慣を持つイスラエル。この国でも新型コロナ感染予防対策のため、全土にわたる段階的なロックダウン(都市封鎖)、外出規制に違反すれば罰金を科すなどの厳しい措置が必要になっていた。
同様に厳しい外出禁止令を敷いたのが欧米諸国だが、イスラエルが彼らに大きく水をあけるに至った勝因は、政府の先を見越す力、早期に示した強い警戒感、そして急速に発展した医療技術にあるという。
■素早い決断で国が万全の対策
ネタニヤフ首相の主導により、早期から徹底した感染予防のための医療体制が組まれていたイスラエル。特に迅速だったのは、情報機関「モサド」と国防省が特別に組織した対策班の動きだ。
彼らは検査キットを10万回分輸入し、不足することを見込んで製造国から防護服・防護具を大量に輸入。医療従事者用サージカルマスクをなんと1000万枚も確保していたという。
まさに「備えあればうれいなし」。これにより、ドライブスルー方式を中心に1日1万件にもおよぶ大規模なPCR検査が実現したほか、院内感染を防ぐため、電話で新型コロナを怪しむべき症状を訴えた者には、専門のスタッフが往診して検査する体制をとってきた。
■テルアビブはデジタル医療技術のシリコンバレー
「中東のIT先進国」と呼ばれてきたイスラエル。この国は医療に人工知能(AI)を積極的に導入し、遠隔医療技術においては世界の最先端を行くなど、2年ほど前からデジタルヘルス(デジタル医療技術)の世界で急速な進歩を遂げていた。
商都テルアビブには優れたスキルを誇る人材とベンチャー企業がみるみる集結し、デジタルヘルスのシリコンバレーなどと呼ばれるように。政府のバックアップ体制も完ぺきだ。
特に注目を集めているのが、仮想コイン業界で知られるブロックチェーン(分散型台帳)方式を医療データベースに採用していること。これにより、データは改ざんが不可能なシステムで管理され、透明性がきわめて高い、正しいデータの共有が可能になっているという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)