話題の「種苗法改正案」生産農家はどう考えているのか? 実際に聞いてみた
見送りになった種苗法改正案、農家はどう考えている?
■生産農家はコスト増か
回答を読むと、やはり民間の利益が増すことで地域のブランド力が低下し、衰退することを懸念されていた。確かに生産農家の男性の言うとおり、地域限定で栽培されているブランド農作物は消費者に対し大きな購買意欲を持たせる。
それが民間企業の開発した登録品種に負けてしまい、民間の高い苗を買わざるを得ない状況になった場合、生産をやめてしまう農家が出て、生産地自体が衰退してしまう可能性はあるだろう。
ただ、農林水産省の説明を読むと「許諾料が⽣じる場合もあるが、 公的主体である都道府県試験場、 農研機構が開発した品種であれば、⾼額になることは想定されない」とも書かれており、実質の負担はあまりない可能性もあるのだが、どれぐらいの費用がかかるか不明だと不安になる気持ちもわかる。
■改正見送りは正しい判断?
確かにこの法案は育種家の競争力を上げ、いま海外で無断栽培されているシャインマスカットや紅秀峰などの二の舞は防ぐことができるが、生産農家へのデメリットもあり、そこからの反発を防ぐ施策の追加や説明は、もう少し必要なのかもしれない。
それを考えると、今国会での改正見送りは正しい判断だったという見方もできる。
しかしながら、いまでもいくつもの品種が海外流出をしていることを考えると、あまり悠長にしている場合でもないのは事実。とりあえず海外流出した際の罰則や、登録品種を購入する場合の身元確認の徹底だけでも強化できないものなのだろうか。
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(取材・文/しらべぇ編集部・熊田熊男)