コロナの影響で「応募が殺到している仕事」とは 転職市場に起きた変化
転職市場にも影響を及ぼしている新型コロナウイルス。現状についてキャリアコンサルタントに聞いた。
2020/05/16 12:00
■転職先が見つかるか不安
しかし、SNSを見てみると「コロナで求人も少ないらしい」「転職したいけど就職先見つかるか不安」といった声も散見される。実際、就職活動中の大学生が選考を中断されたという事例もあるため、中途採用に不安が広がるのは仕方のないことだろう。
そこで、今回は人材紹介会社の『株式会社エージェントキューブ』でキャリアコンサルタントを務める浅賀啓太さんに、現在の転職市場についてお話を伺った。
■以前よりも転職活動しやすい傾向
転職することが当たり前の昨今、常に転職を視野に入れている人は多くいると話す浅賀さん。そんな中、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、転職を検討している人は増えたようだ。
『エージェントキューブ』に相談に行く求職者の約80%は、「転職活動の時期」を相談しているため、「現職でキャリアをつけてから転職すべきか、今転職すべきか」を求職者とともに考え、アドバイスしているとのこと。
また、現在は多くの企業が選考方法を「Web面接」に切り替え、求職者が会場に足を運ぶ必要もない。そのため「以前よりも転職活動がしやすくなっている」という点からも、転職活動者が増えている傾向にあるのではないかと語った。
■厳しい状況にある企業は…
それでは、転職市場はどのように変化しているのだろうか。浅賀さんは、非常事態宣言が発令されてから企業が一般消費者に向けて行なう「B to C」の業種は「軒並み厳しい状況です」と現状を話す。
また、海外がロックダウンした影響も大きく、海外輸入が必要な事業を行なっている会社も厳しい状況にあるようだ。
■応募が殺到している会社も
反対に、募集が増えたのは「医・食・住」に関わる仕事。特に、緊急事態宣言が発令されてからは、在宅ワークに必要なものを取り扱う会社やデリバリーサービスを行なっている会社の募集が増え、それとともに応募者も殺到しているそう。
浅賀さんによると、デリバリーを扱う某会社では、4月の応募者数が1月の3倍以上あったというデータもあるほど。
昨今のように経済不況が訪れると「安定企業」を探す人が増えるが、今回のように状況が読めない場合、転職した会社が必ずしも「安定企業」とは言い難いため、今後訪れる経済不況に備えて「自分自身のキャリアを見つめ直し、キャリアを積む事で安定をつかむよう頑張ってほしい」と転職をする上でのアドバイスをくれた。
■小売や医療の募集状況
新型コロナウイルスが感染拡大する中でも、生活を守るために営業を続けるスーパーなどの小売業界や、医療現場で人手不足が加速していると聞くが、実際はどうなのだろうか。
浅賀さんいわく、どちらの業界も緊急性が高いため、短期アルバイトや中途採用は「即戦力を求めている」とのこと。
小売であれば、スーパーの他にもドラッグストアやホームセンターがそれに該当する。また、医療は看護師や介護福祉士など、現場においても「専門職」とされる人材の需要が高いそうだ。
■短期雇用や大学生アルバイトの重要性
浅賀さんの知り合いで、介護士の資格を持ちながら他の仕事をしている人が、医療現場の現状を見て「手助けをしたい」という声を上げているそう。
浅賀さんは、こうした潜在的ニーズを活かし「短期雇用を国から後押しすることによって、人手不足の現場を少しでも円滑にすることができると良いですね」と理想を語る。
アルバイトに関しては、必要としているところも多くあるそう。そのため「大学生アルバイト数を増加させ、将来の日本を担う若者を少しでも救ってほしいと思います」と、アルバイトが無くなり困っている学生に対して支援の目を向けた。
新型コロナウイルスの猛威により、大きな変化を見せる転職市場。この先どのような状況になるかわからないが、転職を考えている人は今回の話を参考にしてほしい。
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(取材・文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)