国体専門家とフランス人研究者が振り返る令和の一年 「不和や分断をいかに克服するか」
元号が「令和」に変わって一年。研究者たちは今の時代をどのように見ているのか。
■不和や分断をいかに克服するか
−−−−改めて「令和」という元号をどのように思われますか。
金子:出典の『万葉集』からすれば「令和」は「令(よ)き和」を意味しますが、私は敢えて「和せ令(し)む」と読みたいです。そう読むと、聖徳太子が起草された「十七条憲法」の第一条「和を以て貴しと為し、忤(さか)ふること無きを宗とせよ」が連想されますね。
「和せ令む」という以上、「不和」が前提となります。先ほども少し触れましたけれども、コロナ禍を契機として、国民同士、あるいは国家間の分断が露わになりつつあります。
こうした「不和」や分断をいかにして克服するか、その方法を考え、実践せよという天意の表れではないかとも思います。
■愛子内親王殿下も18歳”成人皇族”に
−−−−−健康が心配されていた皇后陛下も愛子内親王殿下もお元気に見えますが、どう見ていらっしゃいますか?
金子:お元気になられたというより、「皇后」あるいは「皇女」としての深い御自覚と強い御決意を持たれたということではないでしょうか。
昨年11月9日に皇居前広場で開催された奉祝国民祭典に列席させて頂きましたが、その際、嵐が歌う奉祝曲を二重橋の上で聞かれていた皇后陛下が涙ぐまれた御様子を拝し、心の底から安堵いたしました。
また、学習院女子高校を卒業された愛子内親王殿下の御様子がテレビで放映されていましたけれども、その御成長ぶりに感銘を受けました。
お二人とも様々な紆余曲折を経て来られたと仄聞しておりますが、本質的には芯の強い御性格であられると思います。今後とも、それぞれのお立場で今上陛下を御支へ下さるのではないでしょうか。
愛子内親王におかせられては18歳を迎えられました。皇室典範によれば皇族男子の成人年齢は18歳であり、来年4月1日からは一般国民の成人年齢も18歳に引き下げられます。皇室典範を改正して皇族女子の成人年齢も18歳に引き下げるべきですが、実質的には「成年皇族」の一員となられたわけです。
そうした中で気になるのは、御結婚についてです。再従姉妹に当たる千家典子女史や守屋絢子女史が二十代半ばで御結婚されていることからして、7〜8年のうちに御結婚される可能性があります。
問題は、その御相手です。「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」日本国憲法第24条にありますが、今上陛下の「皇女」という社会的な地位からして、然るべき男性が求められます。「体力」・「知力」・「徳力」に優れた方と結ばれることを心より念じております。
−−−−宮内庁ホームページに、今上陛下がコロナ禍に苦しむ国民を案ずる御文章が掲載されていますが、読まれて、どう感じましたか?
金子:医療関係者を労われると共に、このコロナ禍を乗り越えるべく心を一つにするよう国民を諭される御言葉と拝しました。先ほども述べましたように、日本のみならず世界全体で第二次世界大戦後の枠組みが揺らぎ、様々な次元における不和が目立つようになっています。
こうした諸問題を解決するためには、国民それぞれが、エゴイズムに囚われることなく、共同体における自己の役割を弁えることが重要ではないでしょうか。