建築現場で鉄棒が頭蓋骨を貫通した男性 10時間の大手術で奇跡的に回復
脳神経外科医はそのCT画像を見て「まさに奇跡だ。この患者は助かる。絶対に助けよう」と心が奮い立ったという。
建築現場はとにもかくにも「安全第一」。何かを落として誰かに当たれば、そして自身が転落すれば、いずれも流血の大惨事になりかねない。そんな懸念が現実となり、イスラエルから驚きの事故の話題が伝えられた。
■足を踏み外して転落
イスラエルのエルサレム市で1ヶ月ほど前、カメル・アブデル・ラーマンさんという46歳の男性が家族を連れ、間もなく暮らすことになる新築アパートの建築現場を訪れていた。
そんな中、2階に上がったラーマンさんは足を踏み外して転落。落ちた先には、鉄筋を組む鋼鉄棒がむき出しで飛び出ていた。
■頭蓋骨を貫通した鋼鉄棒
ラーマンさんは頭蓋骨に鋼鉄棒が貫通した状態のまま、ヘブライ大学医学部附属ハダサメディカルセンターの脳神経外科医であるサミュエル・モスコビッチ博士の元へ運ばれた。
公開された写真によれば、鋼鉄棒はラーマンさんの左頬から刺さり、右のこめかみから外へと突き抜けている。鼻腔、眼窩の領域には重要な神経や血管が多数存在するため、絶望的な状況だと思われた。
■動脈は無傷という奇跡
だがCTスキャンで奇跡的な事実が判明した。鋼鉄棒は脳に血液を送る2本の重要な動脈を、大変きわどいところでかわしていたのだ。
モスコビッチ博士らは「ラーマンさんを必ず助けよう」と心を奮い立たせ、究極の慎重さを求められる大手術に臨んだ。そして棒を引き抜く際の大出血や神経の損傷などに注意を払いながら、10時間にも及ぶ手術はなんとか成功を遂げた。
■「痛みを感じませんでした」
患部の腫れが引くのを数日間待ち、続いて頭蓋骨を修復して閉じる手術も済ませると、ラーマンさんは見事に回復。すでに話すことも歩くことも可能だ。
このほど『エルサレム・ポスト』紙の取材に応じた彼は、「意識はあっても動くことができませんでした。ただ事ではないと悟ったのは、私を見た家族が悲鳴を上げておののき、恐怖の形相に変わった時でした」と事故当時の様子について振り返った。
また、「そんな悲惨な状況にもかかわらず全く痛みを感じなかったんです」とも話し、事故から回復までの経緯が大きな話題になっている。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)