過激化する『自粛警察』の嫌がらせ 犯罪になる可能性を弁護士が危惧

自粛しない人を取り締まる「自粛警察」。なかには行き過ぎた行為に出る人もいるが、法的措置は取れるのか?

2020/05/11 06:15

商店街
(Yue_/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、外出自粛が強く呼びかけられている昨今。飲食店やライブハウスなども営業自粛が余儀なくされているが、なかには営業せざるを得ない状況の人々もいるだろう。


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■「自粛警察」による嫌がらせ

こうした営業を余儀なくされている店に対して、「自粛警察」と呼ばれる人々が店のシャッターに「バカ」「まだ営業しますか?」といった貼り紙をする陰湿な嫌がらせが増えているという。

そこで、しらべぇ編集部はこうした嫌がらせは法的に処罰されることはあるのか、レイ法律事務所の高橋知典弁護士に話を聞いた。

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■犯罪行為になる危険性は十分

自粛警察が営業している店舗に抗議の電話をかけたり、夜間に店の出入り口に貼り紙をする行為について、高橋弁護士は「こうした自主取り締まり行為を一般人が行う場合には、それが犯罪行為になる危険があることを忘れてはいけません」と警鐘を鳴らす。

具体的には、電話での発言や貼り紙の内容が「潰してやる」など、相手に危害を加える旨を告知する内容になっていれば「脅迫罪」に、嫌がらせの電話や貼り紙を除去・清掃する時間を取られてしまい、営業に支障が出た場合は「威力業務妨害罪」などに該当する危険性があるようだ。

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■法的措置を取るときに必要なもの

それでは、実際に店が自粛警察に対して法的措置を取る場合、どのような証拠が必要になるのだろうか。このことについて「抗議の電話等は録音を行ない、掛かってきた番号は保存することで証拠になる可能性があります」と語る高橋弁護士。

また、貼り紙については「剥がす前に現状の写真や動画をとり、剥がす際には手袋をつけて指紋が重ならないように剥がす。貼り紙を貼りやすい出入口には防犯カメラを置くなどして証拠を残すようにすることが考えられます」と教えてくれた。現場を徹底的に抑えることが重要なようだ。


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■負の連鎖を危惧

最後に高橋弁護士は、「一般人が一般人を取り締まる行為」について、決して好ましい行為ではないこととして、自粛警察による負の連鎖を危惧する。

今後、自粛をしない人々を良かれと思って取り締まった行為が犯罪になり報道された場合、今度は自粛警察を取り締まりたがる「自称ヒーロー」なる存在が「自粛警察」の身元を特定し、同じように電話や貼り紙などで攻撃されるといったケースが生まれかねないとのこと。

今回の件について、「どんなに隣人の行為が気になっても、人によって事情は様々で、同時にすべての人に違法行為は禁物です」と語る高橋弁護士。「誰もが逃れられない災厄で、ストレスの強い日々が続きますが、どうか誰も、新たな加害者・被害者にならないことを願っています」と強く願った。

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(取材・文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部 取材協力/レイ法律事務所・高橋知典弁護士)

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