下町の人情店主が『除菌剤』を無料配布する理由 「一人一人が意識を…」

新型コロナウイルス感染拡大を受け、手作りで除菌剤を配布する電気屋店主が東京・亀戸にいる。

2020/05/10 16:20

沼澤栄一店主
(画像提供:沼澤栄一店主本人)

「私の使命は、この街の人々が安心して暮らせる街にすること。電気製品の販売や修理は、その手段のひとつに過ぎないのです」

栄電気(江東区亀戸)の沼澤栄一店主は、新型コロナウイルス感染拡大で自身も影響を受ける中、周囲に手作りの除菌剤を配布し回っている。

地元の住民に愛され、国難を乗り越えようとしている沼澤店主に、チャット取材でその人情に迫った。


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■「モノとお金の交換よりも、人情を大切にしたい」

「モノとお金の交換よりも、人情を大切にした思い」がモットーの沼澤店主。2019年3月9日放送の『出没!アド街ック天国』(テレビ東京)にも出演したことのある、地元では知られた店主だ。電気店主のかたわら、人助けも積極的に行い、ときには夫婦喧嘩の仲裁を務めたこともあったという。

新型コロナ拡大により、飲食店や商業施設が相次いで休業する中、電気屋業は東京都から休業要請は受けていない。

だが、通常通りに店を開くと、お客が商品などに触ることで感染が広がってしまう恐れがある。そのため、「入場制限の意味で、シャッターを半分閉めています。量販店など不特定多数の人が自由に商品を触ることは禁止させたほうがいいと思っています」(沼澤店主)

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■売り上げは10%減

シャッターを閉めた影響で、売り上げはコロナ拡大前と比べて10%減少。だが、苦しいときでも、沼澤店主は笑いを忘れない。

「多くの業界で売り上げが落ちているので、同じ痛みを受けて、自分も辛さを理解しました。私ってMなのかも(笑)」

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■自宅で手作りの除菌剤

沼澤店主は3月6日から、仕事でお世話になった人などを中心に、5月上旬までの2か月間で100本以上の除菌剤を配布してきた。

自宅に設置した電気分解の機械で、1本あたり100円のコストで自ら除菌剤を製造。除菌剤と一緒に、次のような応援メッセージも添え、人々の心を温めてきた。

「入手困難になっている除菌液。ほんのわずかですがお役に立てればと思い、お分けすることにしました。皆さん一人一人が意識をもって衛生に努めていけばきっと収束が来ると信じています」

それが沼澤店主の純粋な思いなのだ。


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■次なる試作は…

「今年は花見ができなかった人も多いので、除菌液の次は、桜の花を樹脂で固めたアクセサリーを贈り始めました。

最近、SNSでも現実世界でも、人々はストレスを感じている。そんなときだからこそ、ほっこりするようなことをしようと思っているのです」

店主が持つ、温かみのある人情で、憂鬱な世の中を明るく照らしていく。

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(取材・文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部

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