ガン発症の27歳息子は「よその子」 赤ちゃん取り違え発覚でショックの母親
産科でまれに起きてしまう赤ちゃん取り違え事件。足首に巻く名前のバンドはそのためだ。
目に入れても痛くないほど大切な息子が20代で難治のガンに侵され、打ちひしがれる母親。そんな彼女にさらなる悲劇が襲った。医師から「本当の親子ではない」と告げられてしまったのだ。
■医師から非情なガン宣告
中国の上海市に暮らすAbinさんという27歳の男性。彼は最近ひどい体調不良に見舞われ、上海中山医院を受診した。
検査の結果、末期の肝臓ガンに侵されていることが判明。Abinさんは医師から「肝移植しか助かる見込みはない」と告げられてしまった。
■最愛の息子が…
Abinさんは、父Yaoさんと母Xuさんの最愛の息子だった。Xuさんは自分の肝臓を息子に提供するため、迷うことなくドナーになりたいと申し出たという。
だが血液検査を受けたところ、親子の血がつながっていないことが判明。ガンの告知に続く大変なショックですっかり打ちのめされてしまったXuさんだが、Abinさんが誕生した河南省開封市の河南大学淮河医院に連絡し、事実の確認を求めた。
■「息子には絶対に知らせない」
1992年6月15日に同病院の産科で誕生したAbinさん。そこでは同じ日に3人の男の子が誕生し、生後3日目に取り違えが発生してしまったという。そして夫妻の実の息子は「Awu」という名で、河南省の家庭で育てられていると説明された。
その家庭では母親がB型肝炎を患っており、Abinさんに肝炎ウイルスが母子感染したと考えられるという。
「ただでさえガン闘病の苦しみを抱えているAbinが、もしもその事実を知ってしまったら…。今はどんなショックも避けなければなりません」と話すYaoさんとXuさん夫妻。とにかくAbinさんに悟られないよう気をつけているという。
■実の息子とも感動の再会
一方、実の我が子に会いたくてたまらなくなったYaoさんとXuさんは、警察を通じてAwuさんに連絡。最初はひどく困惑したAwuさんだが、事情をすべてのみこむと実の両親と感動の再会に臨んだ。
「僕はこちらでとても大切に育ててもらっています」というAwuさんの言葉に、さまざまな感情が押し寄せた夫妻は号泣。Awuさんからはさらに「たまに会いに行きます。定年退職後、河南省に引っ越してきてくれればうれしいです」などと、優しく声をかけられたという。
現在、開封市が病院への立ち入り調査を行っている。両家族に対する補償についても協議される模様だ。
・合わせて読みたい→心臓発作で倒れ母親が急死 下敷きになった4ヶ月の息子も窒息死
(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)