「早く防護服を!」と裸写真投稿で抗議 新型コロナ最前線の医師たちの悲鳴

危険な新型コロナウイルスと対峙するには、防護服/防護具を完備していなければなるまい。

2020/05/02 14:00

白衣を脱ぐ医師
(Remains/iStock/Getty Images Plus/画像はイメージです)

4月30日午後3時時点、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によって世界で317万人を超す感染者と22万人を超す死者が確認されている。

そんな中、医療スタッフたちがフード付きの防護服を着て、大きなマスクを付けた顔全体をフェイスシールドで覆い、懸命に治療を続ける様子がたびたび報じられているが…。


関連記事:イタリアで47歳の救命救急士が新型コロナウイルスに感染 突然の呼吸困難で死亡

■一向に届かない防護服

4月30日午前の時点で、16万人を超える新型コロナウイルスの感染者と、6,400人を超える死者が確認されているドイツ。

ドイツ医療技術協会(German Medical Technology Association)は、今年1月から連邦保健省に対して「防護服が足りない。医療現場に大至急届けてほしい」と訴えていた。

サージカルマスク、ゴーグル、手袋、エプロンなど、医療従事者向けの「PPE(Personal Protective Equipment)」と呼ばれる防護服・防護具。こうしたものが一向に現場に届かず、医療スタッフは大きなビニール袋や手作りのマスク、スキーのゴーグルなどで代用するほかないという。

関連記事:宮城県東松島市がマスク22万枚を配布 他の自治体の現状と今後は…

■全裸に聴診器だけ

これに苛立ちを募らせた医師たちは今、『丸裸にさせられる不安』というタイトルを掲げ、自分たちの大胆なポーズの写真をSNSに投稿する動きに出ている。

モデルはすべて医師本人たちで、女性医師もいれば、初老や中年太りの男性医師も続々と参加。誰もが全裸に聴診器やフェイスシールドだけを着け、デスク、カルテ、イスの背、花などで局部を隠して沈んだ表情を見せている。

関連記事:「祖父の葬式ではなくコロナ最前線へ」 病院職員の決意表明に賞賛の声

■深刻な防護服不足

医師たちはそうしたみじめな姿を示し、「防護服をすべて使い果たした私たちは今、無防備の状態で恐ろしいウイルスと闘っているのです」と訴えている。

早急に防護服を送るよう政府に求める医師たちの嘆願書には、すでに860名が署名。最も防護服/防護具の不足が顕著なのは、ケルンがあるノルトラインヴェストファーレン州とミュンヘンがあるバイエルン州だという。


関連記事:新型コロナウイルス感染の妊婦が赤ちゃんを出産 「最初の検査では陰性」

■卑怯な転売ヤーはドイツにも

ドイツでは介護施設も同様の陳情を続けている。十分な量の防護服/防護具を製造し、医療・介護の現場に一刻も早く送り届けられるよう、政府も積極的に関与していく模様だ。

そしてもう1つの問題が、転売目的の悪意ある人間により、消毒剤やマスクが病院からごっそり盗まれてしまうこと。絶望感にも似た苛立ちと闘う多くの医師が今、「私たちは患者さんたちを回復させてあげたい、治療してあげたいだけなのです」と国民の善意にも強く訴えかけている。

・合わせて読みたい→イタリアで47歳の救命救急士が新型コロナウイルスに感染 突然の呼吸困難で死亡

(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

【Amazonセール情報】ココからチェック!