68歳女性が双子のママに 超高齢出産には避妊失敗例や育児不能に陥る例も

「我が子をどうしても自分の腕に抱いてみたい」という夢を抱く女性たちに、希望を与える超高齢出産の成功例。しかし手放しで喜べない例もあるようだ。 

2020/04/29 16:40

双子・赤ちゃん
(leungchopan/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

ナイジェリアの首都ラゴスで今月14日、マーガレット・アデヌーガさんという女性が男の子と女の子の二卵性双生児を帝王切開で出産した。結婚46年目にして体外受精が成功し、68歳での初産だった。近年、超のつくこうした高齢出産例が続々と伝えられているが…。


関連記事:19歳の母が産んだ新生児の顔に深い切り傷 医師の説明にショック隠せず…

■1997年に60歳女性が自然妊娠

「高齢出産は怖い」とあきらめていた世界の女性たちに、大きな自信と勇気を与えたきっかけとなったのが1997年のあるニュースだ。イギリスのエリザベス・バトルさんという女性が、避妊の失敗による自然妊娠で60歳にして男児を出産したのだった。

40代で妊娠すると流産の確率が約4割。さらに赤ちゃん80人にひとりがダウン症を持って誕生するともいわれている。確率はすべて年齢が上がるごとに跳ね上がるため、60歳で健康な赤ちゃんを出産したバトルさんの話題は世間を仰天させた。

関連記事:新型コロナウイルス感染の妊婦が赤ちゃんを出産 「最初の検査では陰性」

■手放しで喜べない例も

昨年9月、インドのアーンドラ・プラデーシュ州で74歳の女性が双子の赤ちゃんを出産し、世界最高齢だと話題になっていた。ドナーから提供された卵子を利用し、結婚57年目の快挙だったという。

しかし夫妻はその直後に悲劇に見舞われてしまう。初産だった産後の母体について集中治療室での観察が続くなか、赤ちゃんの80歳の父親が脳卒中で倒れ、「赤ちゃんはいったい誰が面倒をみるのか」ということになったのだ。

関連記事:新型コロナに感染した超高齢者たちが完全回復 100歳超える患者も話題に

■希望者と医師のニーズは一致

そうした理由から、超高齢の女性たちにも体外受精を試すクリニック側の倫理的責任を問う声は多いが、一方で「どんなにお金を積んでもいい。我が子を腕に抱いてみたい」と懇願する夫婦が増えていることも事実だ。

閉経すると子宮・卵巣の器質・機能的な衰えは顕著になり、着床率アップや妊娠の継続には女性ホルモン投与が必要。さらに胎児の染色体の異常などを調べる各種の検査が行われることがほとんどで、高齢出産の費用総額は大変なものになる。

不妊治療や高齢出産の実績数を増やし、お金を儲けたいクリニック。そして人生の夢を叶えたい女性(夫婦)たち。両者のニーズはまさに合致する。


関連記事:ラブリが第1子妊娠 発表決意した理由に感謝の声「私たち妊婦のために…」

■染色体検査後の中絶は…

お腹のなかの赤ちゃんの異常を心配する高齢の妊婦には、血液検査のほかに、細胞の染色体の構造などを詳しく調べる「絨毛検査」や「羊水検査」がある。

しかし、お腹や子宮頸部から羊水や胎盤の一部である絨毛を採取するにはそれなりの負担と危険を覚悟しなければならなず、検査結果による中絶希望は生命倫理の観点から許されていない。

平均寿命が延び、豊かな人生を模索する楽しみは増えたが、加齢による女性機能の衰えに抗う60代や70代の妊娠がどれほど危険なものか、女性たちはしっかりと考える必要がありそうだ。

・合わせて読みたい→19歳の母が産んだ新生児の顔に深い切り傷 医師の説明にショック隠せず…

(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

【Amazonセール情報】ココからチェック!